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変われる拳!  作者: 澤田慶次
29/109

ボクシングという物!

これからの2人、天川会長は何を思う?

池本がトレーナーをした翌日より、将士と哲男は一層ボクシングに集中していた。どれだけ自分が甘いか、どれだけ練習が足りないか、将士も哲男も痛感した様である。

改めて気を引き締めて練習する将士と哲男、気付けば1月も半ばを過ぎていた。勿論、学校も始まっている。

「菅原、たまには遊ぼうぜ」

「ゲーセン行こうよ」

「中台君、遊び行こう」

「あそこのクレープ、美味しいんだって」

2人を誘う者は結構居るのだが、

「ごめん、ボクシングが有るから」

「悪いな、練習が先だ」

2人は断ってボクシングに打ち込んでいた。それは練習にも現れており、天川会長はご満悦の様である。


時は2月になる。東北大会が迫り、将士はそろそろ減量となる。

「菅原君、本当に今回はちゃんとやってよね」

「うっ……気を付けます……」

天川会長は、哲男に厳しい顔で注意した。県大会の失敗を繰り返さない為である。哲男も理解しているらしく、特に減量を必要としないのだが、ウェートには注意を払っている様である。

そんなある日の練習終わり、天川会長は練習終わりの将士と哲男を呼び止めた。本日も将士はバイトをし、哲男は会長室で勉強していた。

「喜多君じゃないけど、リングに座ろうか?」

「「はい」」

リングの中に座った3人、天川会長は笑顔であるが将士と哲男は緊張している。

「楽に楽に、怒ってる訳じゃないんだから」

「はい……」

「……褒められる記憶も無いんですが……」

「あっはっは、俺はそんなに怖いかい?」

「僕は別に……」

「俺は……結構怒られてますよ?」

「それは、菅原君が悪いからしょうがない……今日はな、少し話がしたくてな……君達は、毎日をどう生活してる?」

「どうと言われましても……割りと普通に……かな……」

「俺は、いつも元気に生活してます!」

「菅原君は、だろうね……言い方を変えようか……ボクシングについて、どんな覚悟を持ってるんだい?」

「覚悟ですか……僕は…………よく分からないんですけど、やれる所まで全力でいきたいです」

「俺は、喜多さんと手塚さんが驚くボクサーになります!」

「まぁ、どっちもいい感じだね。いいかい、これからの生活で常にボクサーで有る事を意識するんだ」

「「ボクサーで有る事を意識?」」

「そうだ……常にボクサーとして生き、息を吸う時でさえボクサーだと意識する」

「……難しいですね……」

「そんなの、出来る奴居るんすか?」

「居るよ。少なくとも確実に2人はね」

「「2人も!?」」

「君達も会ってるだろ?この前トレーナーで来てたし?」

「……池本さん?」

「あの人ですか?」

「そう、あのボクシング馬鹿だよ。あいつはさ、勝つ為に生活の全てをボクシングに費やした。だから、ミドル級の統一チャンピオンになれたんだ」

「やっぱり、凄かったんですか?」

「将士、統一チャンピオンなんだぜ?」

「でも……」

「現役の試合を見た事は無いか……凄かったよ、どんな相手にも真っ正面から向かって行って……あいつは後退のネジが付いて無いんだよな、徹底的に打ち合って……」

「全てを倒してチャンピオン……」

「喜多さん達が、尊敬する先輩だもんな~……」

「でもな、池本君もそのせいで、結局引退に追い込まれたんだ……パンチドランカー……池本君の様に、引かないボクサーには付き物のリスクさ……それでも前に進むなら、常にボクサーで有る意識を持たないとね。自分に危険が付き纏うという事と、対戦相手に与えてしまうかもしれない事も有るからね……どちらにしても、覚悟は必要さ」

「覚悟か……僕は、もっと頑張らないと……」

「俺も、しっかりやらないとな!」

「うんうん、そうだね」

「「後1人は誰ですか?」」

「合宿中に会ったんじゃない?世界チャンピオンを捨てて、オリンピックに挑戦する馬鹿が居ただろ?」

「あ~、甲斐さん」

「……確かに、ボクシング馬鹿だな」

「だろ?ボクシング修行僧だよな?」

「うんうん、それは分かりますね」

「あの人、後退のネジじゃなくて、ボクシング以外のネジがねぇんじゃねぇの?」

「そう言うな、あそこは会長が物凄く馬鹿なんだから」

「あ~、最悪っすよね!カレーと唐揚げのレシピ、教わった物だったし」

「……でも、何とかなってるんですよね?……前世で、よっぽど得を積んだんですかね?」

「……多分、そうだろうね……さて、帰るとするか?」

「「はい!」」

天川会長は将士と哲男と戸締まりをし、本日のジムを終了とした。


将士と哲男は一緒に帰っている。

「ねぇ、池本さんの試合のビデオ有る?」

「……ねぇんだよな~……俺、徳井さんの試合から見始めたからさ」

「無いか~……喜多さん、持ってないかな?」

「有るんじゃねぇの!借りようぜ!」

「……どんなボクサーだったんだろうね」

「そうだよな~……天川会長が、あれだけ褒めるんだもんな~……」

「見た感じは強そうだよね?」

「それは確かだよな……でも、どんな試合をしたかは気になるよな?」

「うん、そうだね……」

「……あれ?天川会長、持ってねぇのかな?」

「有るんじゃない?……天川会長に借りれば良かったな~……」

「よし、明日借りよう。そして、明日見ようぜ」

「そうだね」

天川会長から池本の事を言われ、将士も哲男も気になっている様だ。池本の試合を見て、2人はどんな感想を持つのだろうか。

「甲斐さんはどうする?」

「あ~……そのうち、生で見られるんじゃないか?」

「そうだね」

甲斐については、急いではいない様である。

期待の大きい2人、頑張って欲しい物です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 池本さんの試合は覚悟の塊ですからね! きっと伝わるものも大きいはずですね。
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