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変われる拳!  作者: 澤田慶次
25/109

事件は焼き肉屋で起こっている!?

合宿も、そろそろ終盤……

将士と哲男の合宿だが、一言に順調である。毎日の朝のロードワークに始まり、午前中の基礎体力や筋力に特化したトレーニング、午後のスパーリングを中心としたジムワークと充実した練習を行っていた。合宿も気付けは、明日には終わりである。なかなか中身の濃い合宿である。

「おらおら、哲男打て~!」

「将士、下向くな!」

喜多と手塚の激が飛んでいる。若い2人とはいえ、合宿の疲れが蓄積されている様である。

「「それで強くなれるのか?」」

喜多と手塚の言葉に[パァン]という乾いた炸裂音で答えた2人、どんなに疲れていてもやる気だけは充分の様である。


そんな1日の練習が終わる頃、

「中台君に菅原君、今日の夜はご飯を食べに行こう。喜多君に手塚君、主要メンバーも誘っておいてね」

「「ラジャー!」」

「篠原会長が奢ってくれるんですか?」

「そのつもりだけど」

「マジっすか、何食べるんすか?」

「菅原君、よだれ……一応、焼き肉を考えてるけど」

「「やった~!」」

「手塚、誰呼ばない?」

「……西田さんは決定……甲斐は~……お情けで呼ぶか……」

「芸能人気取りもお情けだな」

「そうそう、藤沢君も呼んであげてね」

「「はい!」」

「凄いメンバーが来そうだね」

「本当に……元世界チャンピオン、何人来るんだろうな?」

思わぬ所で、まさかのご褒美を貰う事になった将士と哲男であった。


練習が終わり、将士と哲男は着替えて早めのロードワークに出た。本日の夕飯は篠原会長達と食べる為、遅くなってもいい様に今のうちに走っておく事にしたらしい。

ロードワークの後に洗濯をし、その間に風呂を済ませた将士と哲男、ゆっくりと部屋で寛いでいた。

「おい、行くぞ」

「準備出来てるか?」

喜多と手塚に声を掛けられ、下に降りて行く将士と哲男。下には池本を始め、甲斐と佐伯も居る。

「さて、行こうか」

ジムから篠原会長が出て来てみんなに声を掛け、この豪華メンバーに混ざって将士と哲男も移動した。

焼き肉屋に付くと、既に徳井と藤沢が席を確保していた。

「悪いね、徳井君に藤沢君」

「大丈夫ですよ」

「いや、それより……」

「俺も参加させて貰っていいんですか?」

隆明も徳井達と一緒に居る。

「気にしないで、中台君も菅原君もその方がいいと思うよ。ね?」

「隆明君、ボクシングの話しようよ!」

「徳井さんの日常生活を知りたいな~!」

何となく、とてもいい感じである。

「会長とトレーナーは、用事有るって言ってましたよ」

「そう、残念だね……代わりに池本君だから、まぁいいよね」

「あの~……少し問題が……」

池本と篠原会長が話していると、徳井が申し訳なさそうにして会話に入って来た。

「どうしたの?」

「実は……」

その時、トイレのドアが勢いよく開いた。

「いや~、食べる前に出しておかないと、存分に食べられないからな~!…篠原さん、今日はゴチです!」

「……徳井君?」

「こういう時だけ勘がいいんですよ……」

「徳井、馬鹿を巻けなかった訳か……」

「未熟者め!」

「喜多、手塚……すまん……」

「来ちまった者はしょうがない、楽しくやろうぜ!」

「流石は池本、楽しくやろうぜみんな!」

「お前が仕切るな!」

[ゴツッ]

「痛ッ……少し強いぞ、池本!」

池本は西田の頭を叩いた。みんなは少しすっきりした様である。


焼き肉を食べ始める。流石に高校生、将士·哲男·隆明は物凄い食べっぷりである。最も、他のみんなもしっかりと食べている。

「そういえば、徳井さんアリサさんがたまには顔出せだそうです」

「アリサ?……徳井、そんな知り合い居たの?」

「俺も聞いた事ねぇな~……浮気か?」

「住みに置けないな~、徳井!」

「徳井さん、浮気はダメっすよ!」

「あのね……俺は愛妻家だよ」

「姉ちゃんだよな?」

「うわ!池本さん、よく知ってますね?」

「「「「姉ちゃん?」」」」

「あれ?4人共知らないんですか?……女優のアリサさんですよ」

「「「「はぁ?」」」」

「月9に出てる?」

「かなり人気の?」

「奥さんにしたい芸能人No1の?」

「……俺はファンだぞ!」

「……一応、実の姉……」

「「「「何だと!?」」」」

「そうか~、徳井君は凄い姉さんが居るんだね……何で池本君知ってるの?」

「あ~、俺、昔からアリサさんのファンですもん」

『え~~~~~~~~~~!』

「池本君、好きな芸能人居たの?」

「初耳~!おい、徳井!」

「そうだったんですか~……俺も知らなかった……」

「池本さんがファン……熱は無いですよね?」

「……ボクシング馬鹿だと思ったら、そんな一面も……やるな、池本さん……」

「……母さんに言ってやろ」

「……反応し過ぎだろ……甲斐、美里さん出すなよ。後が面倒だろ?」

「あの~……僕から質問なんですが……」

「何だタツヤ!」

「……将士です。僕は喜多さん以外は……割りと知らないというか……」

「え?将士君、知らないの?」

「うん……」

「しょうがねぇんだよ、将士はボクシング始めて3ヵ月だから」

「うぐっ……ブンタ、俺の傷を広げるな」

「哲男ですよ!……傷って何ですか?」

「菅原君、気にしない気にしない……西田君、食べてばっかいないで、話に参加して!」

「え?だって俺には関係なさそうなんで……」

「これだよ……」

「将士、俺が説明してやるよ。池本さんは、元ミドル級の4団体統一チャンピオンだ。PFPも1位になった人だよ」

「古い話だ、気にするな」

「俺と手塚はいいとして……徳井は2階級チャンピオンだったし、佐伯もフェザー級のチャンピオンだった。甲斐とのWBSS決勝に負けたけどな」

「わざとですよ、わざと」

「何回やっても結果は同じだ!」

「藤沢は、俺達3人の同期……まぁ、仕事の都合でボクシング辞めたけどな……篠原会長は、元日本チャンピオン」

「よく知ってるね!それこそ古い話だよ」

「俺は、池本さんを始めお前等が自慢だよ」

「西田さんは……馬鹿!」

「おい!おかしいだろ?」

「俺が教えてやる!カレー屋のオヤジだ!」

「手塚、それもおかしいぞ!」

「は~……みんな凄い……あ、そうだ!西田会長、カレーのレシピを教えて下さい!」

「??どうして?」

「あ~、将士の家、弁当屋なんですよ」

「あ~、成る程……別にいいよ!まずカレーだけど……あれ?どんなレシピだっけ、池本?」

「はぁ?何で俺に?」

「お前が俺に教えたレシピだろ?」

「俺が?……もしかして、孤児院のカレーか?」

「そう、そのカレーだ!」

「おいおい西田さん、俺のレシピって言ってたじゃんかよ?」

「何だよ、別にいいだろ?……とりあえず、池本に聞いておいてくれ!げんこつ唐揚げはだな……甲斐、お母さんに聞いといてくれ」

「はぁ?お袋のなの?」

「おう、そうだ!」

「……西田君、君は何をしたんだい?」

「やだな~、この2つを組み合わせたじゃないですか~……まさに、これこそ俺の功績!」

「……馬鹿が証明されたな」

「俺、辞めて本当に良かったよ」

「ここまで来ると、馬鹿の天然記念物だな」

「俺は……辞めようかな……」

「ちょっと徳井さん、俺を見捨てないで下さいよ!」

「……出入りを控えよう……」

「昴、それないだろ!」

「ここまで馬鹿だと……言葉が見付からないよ……」

「有る意味凄ぇな!キッパリ言ってるし!」

「あそこまで言い切ると見事だよね!」

「叔父さん、苦労するね……」

「まぁまぁ、西田の馬鹿は今に始まった事じゃない」

「お?池本は分かってるな!」

「だろ?だから……ゴチになります、西田会長!」

「はぁ?」

「ほら、みんな……せ~の…」

『ゴチになります、西田会長!』

「おいおい、どういう事だよ~!」

結局、西田会長が支払いを持つ事になった。

将士と哲男、隆明というライバルも見付け、これからのボクシング人生がどう進むのか楽しみである。

「会計、135742円になります」

「……来なきゃ良かった……」

西田会長だけ、きついお灸が末られた様である。

色々と有ります!

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― 新着の感想 ―
[良い点] さすが西田! 盗んだレシピでボロ儲けでしたね(笑) 焼肉代はある意味、安いくらい!?
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