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変われる拳!  作者: 澤田慶次
17/109

新たにスタート!

県大会は、見事な結果!

県大会を見事に優勝した将士の翌日、朝早くから哲男とロードワークをしていた。少しだけいつもと違った事は、大会後という事もあり将士も哲男もいつもより10分程遅かった事である。

ロードワークの帰り道、不意に将士は声を掛けられる。

「中台君おはよう!早いね!」

「あれ?雨谷さん?……どうしてこんなに早く?」

「私はいつも通りだよ?」

「……朝から熱いね~、程々にね!」

「そ、そんな……」

「哲男君、からかわないの!」

「それより顔……どうかしたの?」

「ああ、ボクシングの試合が有ってね」

「出たの?」

「一応……ごめん、後は学校でね」

将士が走り出すと、急いで哲男は付いて行った。


いつもより少し遅めの登校となった将士と哲男、

(あんま)り朝から熱々は辞めろよな~」

「熱々って……あのね」

「おはよ~、中台君!」

「うわぁ……顔、痛そうだね……」

「ああ、おはよう……特には大丈夫だけど……」

「おい、俺には無いのか?」

「あれ?菅原君?」

「居たの?」

「最初からな!…俺の顔には触れないのか?」

「何か有るの?」

「整ったとか?」

「おい!」

昨日の女子2人である。どうやら、この2人は将士に興味深々の様である。

「あ、あの……僕、用事が有るから……ごめんね」

将士はクラスの中に走って入ってしまった。

「あ~あ……将士、行っちゃったよ……」

「菅原君が悪いんでしょ?」

「そうだよ!」

「え、何で?」

朝からとばっちりな哲男である。


教室に入った将士、席に着くとすぐにチャイムが鳴る。本日は朝礼の日、朝から放送で校長先生が話をしている。誰もが面倒臭い様な感じで話を聞いていたが、

『え~最後に、先週の金·土·日でボクシングの県大会が有りました。本校の生徒も参加し、フライ級の中台君とライト級の菅原君が見事に優勝、2月の東北大会に出場します。おめでとうございます。本日は以上になります』

この放送の後、将士のクラスは賑やかになっていた。

「中台、ボクシングやってたの?」

「優勝って、凄くない?」

「そんなに強かったの?」

将士は質問攻めに合い、苦笑いをしていた。

「はいはい、授業を始めるぞ」

担任の言葉で、この話題は一時的に収まった。

授業が終わると、将士はまたも話題の中心となる。クラスのみならず、隣のクラスからもやって来る始末。将士は休み時間になると、それとなく姿を消していた。


昼休み、将士は誰にも絡まれない様に、急いで屋上に行った。

「将士、大変だな?」

「笑い事じゃないよ!……静かに生活したいのに……」

どうやら、将士は結構迷惑している様である。しかし、哲男と昼食を食べていると平和な事に気が付いた。

「……静かだね?」

「そうだな」

「助かるけど、どうしてかな?」

「どうしてだろうな?」

「そんなの~、菅原君が居るからに決まってるじゃ~ん!」

「菅原君、怖いからね~!」

昨日応援に来た2人の女子である。

「俺が原因なのか?」

「「勿論~!」」

「……そうか、哲男君と居れば静かなのか!」

「おい将士、物凄ぇ酷ぇぞ!」

「それより~、私は片瀬(かたせ)奈美(なみ)!」

高田(たかだ)佳子(けいこ)だよ!」

「「中台君よろしくね~!」」

「ああ、うん……哲男君、この2人は静かには……」

「ならねぇよ!諦めろ!」

「何それ~?」

「酷くな~い?」

「うっ……ごめんなさい……」

将士の学校生活は、暫くは賑やかになりそうである。


放課後、将士はホームルームが終わるとすぐにジムに向かって走って行ってしまった。

「待てよ将士~!」

哲男は将士を追い掛ける様に、こちらも走って天川ジムを目指した。

「「お願いしま~す」」

「おう、昨日はご苦労様……浮かれてないだろうね?」

「俺は大丈夫ですよ!…将士が少し……」

「ちょっと、僕は周りがうるさいだけだよ!」

「……2人共、あの程度で何を楽観視してる!着替えてロードワークに行って来い!橋本君、自転車で付き添い!」

「はい、分かりました。ほら、早く着替えて来い」

「「はい!」」

将士と哲男は着替えると、軽く準備運動をしてロードワークに出て行った。本日より橋本トレーナーが付き添いとなり、天川会長は基礎の部分から将士と哲男を鍛える様である。


本日からのロードワークだが、いつものコースだと公園の横を通る。本日より、その公園で橋本トレーナーによる基礎トレーニングが追加となった。

「よし、ここで色々とやるぞ」

「ここで?」

「何やるんですか?」

「とりあえずは、俺の指示に従え。この公園は1周600mくらいだ、今からダッシュ」

「「はい?」」

「3分以内に入らなかったら数えないからな!今日は手始めに4本!」

「は?どういう……」

「え?今から?」

「よし……スタート!」

「「わぁぁぁぁぁぁ!」」

将士と哲男は、慌てて走り出した。

1周回って来た2人、

「哲男2分34秒、中台2分43秒」

「はぁ、はぁ、俺の勝ち!」

「はぁ、はぁ、くそ……」

「ラスト5秒……3·2·1、スタート!」

「「もう?」」

再び走り出す将士と哲男、インターバルは1分である。

このダッシュの後、2人は橋本トレーナーの指示で基礎トレーニングを徹底的に行った。昨日の勝利の余韻は、既に頭の中から消えていた。


トレーニングを終えて戻った将士と哲男、だからといってジムワークが楽になる事はない。強いて言うなら、スパーリングが無いくらいである。

「はい、やる気を感じない!中台君、サンドバッグもう1ラウンド追加!菅原君、ミット1ラウンド追加!舐めてんじゃないの?」

天川会長の気合いが感じられる。

天川会長の指示を受け、将士と哲男は必死にボクシングに打ち込んでいる。それでも弱音を吐かない、なかなか2人は大した物である。

練習が終わると、将士はバイトに移る。本日の練習は厳しい為、バイトに入る時間が遅くなってしまった。

「菅原君は勉強!明日も2人は同じメニュー!」

「「はい!」」

天川会長、本当に覚悟を決めているみたいである。


ジムの戸締まりが終わり、将士と哲男は帰路に着いた。

「会長、やけに気合い入ってたな?」

「そうだね……でも、これくらいやらないと強くならないんじゃない?」

「確かにそうだけど……結構キツイぞ?」

「……喜多さんなら、笑いながらやっちゃうんじゃない?」

「……確かに……俺達はまだまだなんだな……」

「あっはっは、当たり前だよ!喜多さんは、元世界チャンピオンだからね!……でも、絶対に近付いてみせる!」

「……将士は喜多さん好きだよな~……男が好きとか無いよな?」

「無いよ~!僕はしっかりと女性が好きだよ!」

「……そうか、将士は助平なんだな?」

「哲男君よりはマシ!」

「俺はジェントルマンだぞ!」

「エロジェントルマンだろ!」

大分話題が変わってしまっている。しかし、2人は確かに上を目指すと決意している。特に将士にとって、喜多との出会いは物凄い影響だった様である。

「将士のがエロだろ!ムッツリ助平!」

「哲男君のが助平だ!変態エロ男爵!」

「俺は変態じゃないぞ!」

「いいや、絶対変態だ!」

何故かつまらない事で言い合いをしている2人であった。

強くなる為には、これからが大切!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 将士も哲男も着実にかわってきていますね! ムッツリといえば、あのイケメン2名はこのころ何をしているかですね(笑)
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