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変われる拳!  作者: 澤田慶次
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近付く世界戦!

将士、どうなる?

将士の練習は佳境に入っていく。

甲斐とのスパーリングでやる事を再確認出来た将士、練習へ打ち込む態度がより一層頼もしくなってきた。そのまま練習は続いていき、遂には減量へと突入していった。

将士は元々、それ程大柄なボクサーではない。だから、減量は一般的なボクサーと大差ないのだが、基礎トレーニング等によって筋量もアップしている為に今までの減量よりも厳しい物となっていた。

「おら、しっかり手を出せ!ここに打ち付けろ!」

ミットを持つ喜多からの激も激しくなっている。将士も懸命にパンチを出すのだが、迫力がなくなっている。それだけ、今回の減量はきつい証拠である。それでも弱音を吐かず、黙々と練習をこなしていく将士、精神的にも成長が垣間見える。

ジムワーク後も将士の練習は終わらない。着替えてロードワークを行い、ヘトヘトになって1日が終了となる。最終は体重計に乗ってウェートの確認である。

「後2kg……うんうん……」

呟いた将士、シャワーを浴びて横になった。


そんな減量も終わりを迎え、将士のウェートはリミットに達した。ここからは疲れを取りながら体調を試合に合わせていく。将士もベテランの域に達して来た様である。慣れた感じでジムワークを行っている。

スパーリングはパートナーを数人集めており、その中に喜多と手塚も混じっている。将士は1人でその数人を相手するのだが、喜多と手塚も含めて将士に圧倒されている。確かに将士、強くなった。減量から解放され、試合の準備は万端の様である。

「くそ、将士ごときに……」

「あの顔が憎たらしく思えて来る!」

喜多と手塚が悔しそうに呟いている。


しっかりと練習を積み、遂には計量日を将士は迎えた。試合会場である横浜アリーナ、その1室を計量場としてチャンピオンのジョナサン·リゴンドーと将士は顔を合わせた。両者共に計量を1発でパスし、会見場に場所を移した。将士は軽く水分を取り、篠原会長と一緒に席に座る。篠原会長と反対隣にリゴンドーが座る。

記者から質問が飛ぶ。

「明日の試合の意気込みをお願いします」

「明日は……僕にとって忘れられない日になります」

「ほう?KOされるからかい?」

リゴンドーは通訳を通じて将士に話し掛ける。

「KOをするんですよ。僕の腰にベルトが巻かれます」

「それは、この俺に勝つという事なのかな?」

「大丈夫ですか?それ以外に有るんですか?」

「……挑発してるのかい?」

「挑発?正直な話をしたまでです。明日は腰にベルトを巻いて、次の試合は哲男君をKOする。何て分かりやすい話でしょう」

「ほう……もう俺に勝った気でいるのかい?」

「いや、しっかり勝ちますよ。明日、どんな形でも必ず勝ちます!僕の全てをぶつけます」

将士はリゴンドーを睨んだ。

「楽しみにしてるよ、ボウヤ」

リゴンドーは涼しげな視線を将士に向けた。

その後、2人はファイティングポーズを取って向かい合わせに立ち、写真を取られた。そのまま、外見は終了となった。


会見からの帰り道、篠原会長·喜多·手塚と一緒に帰る将士。

「将士、やる気充分だな?」

「勿論ですよ」

「いい気合いだ。やるぞ」

「はい」

「将士君、しっかり休んでね」

「はい、明日に備えます」

そんな会話をしながら、将士は自分の部屋に戻るとすぐに横になった。なかなか眠れないかと思われたが、将士はすぐに眠ってしまった。


………………………………

「おい、中台」

「はい!」

将士はキョロキョロと周りを見回す。

「こっちだよ、こっち!」

「中台君、こっち」

声の方を向く将士、そこには池本と天川会長の姿があった。

「あれ?2人共、どうしたんですか?」

「世界タイトルマッチ、明日だろ?」

「だからね、俺達から中台君へ」

「??」

「ほれ、リングに上がれ」

池本はグローブを着けており、しゃくった顔の先にリングがある。池本はすぐにリングに上がる。

「ほら、中台君。用意して上がろう」

天川会長は将士のグローブを嵌め、将士をリングに上げた。

「よし、しっかりと今の君を見せてくれよ」

「甲斐は優しいから、俺がしっかりと鍛えてやるよ」

「よく分からないけど、お願いします!」

将士は天川会長のレフェリーの元、池本とスパーリングを行った。そのスパーリングは、とても激しい物となっていた。お互いに接近戦での戦いとなり、すぐに当たる距離であるがなかなか当たらない。当たったとしても必ず反撃され、主導権はどちらも握れない。

それでも池本に軍配が上がり始める。将士は徐々に後退していき、コーナーを背負う形となった。池本が右のフックを放とうとした瞬間、池本はその右手を咄嗟に上げてガードした。次の瞬間、将士の左手はスリークォーターに用意されていた。すぐに池本はクリンチをする。

「ここまでだ。後は明日、この先を決めて来い」

「はい、ありがとうございます」

「いいか中台。相手に届くパンチは、決してまぐれじゃない。魂が籠ってるんだ。どんな時も魂込めて、最後まで勝つ為に最善を尽くせ。出来る事を全てやるんだ。最後に1つ。甲斐の全てとは言わんが、あいつの事もしっかり思い出せ。きっと、役に立つからな」

「はい、ありがとうございます」

「中台君、役に立ったかな?」

「はい、勿論です!」

「俺達への土産は……」

「分かってるよね?」

「はい!チャンピオンベルトを巻いた姿、必ず届けます!」

「「よし、それでOKだ!」」

池本と天川会長は右手の親指を立てて笑顔を見せた。


…………………………

「夢か……それにしても、時期的にピッタリだな~……しかし、グローブを何時外したんだろ?」

将士は呟きながら布団から起き上がる。そのまま着替えて軽くロードワークに出た。

本日、遂に将士の世界タイトルマッチが行われる。

さぁ、後は世界を取るだけだ!

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― 新着の感想 ―
これは事件屋が絡んでそう!? 死神にお願い、いや、脅して夢の中に現れたようですね! 確かに甲斐を思い出して動けば、一番勝利が近そう…。
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