表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変われる拳!  作者: 澤田慶次
10/109

喜多は東京に、約束は厳しく!

喜多の出張も終わり……

将士は気付くと、ウェートトレーニングをして練習を上がった。勿論、哲男も将士と一緒である。その後に、将士はいつも通りにアルバイトとなった。

本日の練習は、こちらもいつも通りとなっていた。喜多と手塚が大橋とスパーリングをし、将士は片付けや掃除等をしていた。哲男も手伝っている。戸締まりも終わると、本日の営業は終了となった。

「さて、喜多君は今日までだね……ありがとう、はい報酬」

「ありがとうございます!いや~、嬉しいな~……将士、お母さんに連絡して飯でも食おうぜ!」

「母さんに?……ご飯作っちゃったと思いますよ?」

「大丈夫、今朝に話してあるから!」

「それじゃあ、哲男と一緒にゴチ!」

「俺もいいんですか、手塚さん?」

「苦しゅうない!」

「俺の金だぞ?」

「うむ、苦しゅうない!」

「……喜多さん、手塚さんはいつもこうなんですか?」

「いつもこうだ、この馬鹿!」

「将士、喜多さんも変わらないぞ!」

「あ~、確かに!」

「「おい!」」

「はっはっは、楽しそうで何よりだね」

将士達はこのまま、近くの焼き肉屋で将士の母親と合流してから向かった。


焼き肉屋に入った一行、ここは食べ放題が有り喜多としては有難い所である。

「好きなだけ食べようぜ!」

「私もいいんですか?」

「構いませんよ、喜多の金だし!」

「おい、お前が答えるな!…お世話になりましたから、気にせず食べて下さい。特に食べ放題だから、遠慮されると困ります」

「ちょっと、カルビの上10人前まだ?」

「お前は遠慮しろ、哲男!」

「遠慮したら、一生後悔します!な、中台?」

「うん!僕は上ロース10人前!」

「俺は~……上ハラミと……この上タン10人前ずつな!」

「……頼まなくても、嫌という程食べれそうだ……」

「あっはっは、楽しいですね?久しぶりに賑やかな夕食!」

焼き肉屋はとても騒がしくなっていた。

「時に喜多さん、出張は終わりですか?」

「おう、今日までだ。明日帰るよ」

「明日か……」

「将士、見送りしなさい」

「学校が……」

「たまにはサボりなさい」

「話が分かる親だな~……よし、俺も学校サボるかな!」

「菅原君はダメだよ!赤点ばっかりなんだから!」

「ぐぬ……」

「何だ哲男?そんなに馬鹿なのか?」

「いや……勉強が肌に合わなくて……」

「いいか哲男、手塚みたいになっちまうぞ?」

「おい、どういう事だ?」

「馬鹿で悪人面って事だよ!」

「この野郎!」

「だってさ~……将士は親子で……」

「わ~、手塚さん、ごめんなさい!」

「本当に……でも、いきなりあんな顔を出されたら……」

「あの~、それ以上は……一応俺も傷付くんですけど……」

「ああ、ごめんなさい!つい本音が……」

「おふっ……」

終始、楽しい食事会となった様である。

食事が終わると、それぞれ帰路に着いた。喜多と手塚は将士達親子を送り、哲男を送ってからホテルに戻った。ホテルのラウンジで、喜多と手塚はペットボトルの水を飲みながら話していた。

「しかし……お前も大人気ねぇよな?」

「何がだよ?」

「将士にさ、最後本気の一撃を入れてただろう?」

「……見事にやられたからな……」

「あれ……スマッシュだよな?」

「ああ……将士の奴、俺とやる為に必死で考えたんだろうな~……スマッシュって知らねぇで放ったと思うぜ」

「だろうな……見事なパンチだったよ」

「おう……だからこそ、もう少し見たいんだよな~……」

「確かに……哲男もそうだけど、なかなかな素材だよな?」

「ああ……」

どうやら、将士と哲男は喜多と手塚から見て、なかなか素質が有る様である。


翌日の朝、4人はいつも通りにロードワークを行った。将士と哲男もしっかりと付いて行ける様になっており、朝から気合いの入った走り込みとなっていた。

朝食を食べた後、哲男は学校に将士は喜多と手塚を見送りに行った。

「私も行きたいんだけど、お店があるから……これ、後で食べてね!」

将士の母親は、喜多と手塚に弁当を手渡した。

喜多と手塚と歩く将士、他愛の無い話をしていたのだが、不意に手塚が昨日のスパーリングの話をした。

「将士、なかなか見事だったぞ!」

「でも……最後は記憶が無くて……」

「……俺とやって、記憶が残るくらいに出来ると思ってたのか?……手塚だったら、KO勝ち出来たかもな?」

「おい、俺とやったらもっと早くKOだ!……しかし、喜多のパンチをあれだけ貰って、よく平気だったな?」

「……僕は目がいいから……」

「将士、俺のパンチが見えてたのか?」

「はい」

「将士、怖くなかったのか?」

「ほら、僕は殴られ慣れてるから!……しっかり最後まで見てパンチを貰わないと、変な所に入ると痛いし苦しいんですよ」

「ほう……それで、俺のパンチも急所を捉え切れなかったのか……」

「……喜多のパンチを最後までしっかり……普通に怖いぞ?」

「怖いよりも痛い事や苦しい事の方が嫌ですからね!」

「……将士、高校卒業したら東京に来ないか?」

「そうだよ、俺達のジムに来いよ!」

「でも……天川ジムに……」

「大丈夫、天川会長は話が分かる男だよ」

「東京に来て、目一杯ボクシングやろうぜ!」

「……高校在籍中に、プロボクサーになる事が出来たら……その時は……」

「よし、約束だからな!そして、必ずプロボクサーになれよな!約束だぞ!」

「はい、頑張ります!」

「いいか将士、口に出したら飲み込めねぇんだからな!」

「はい!」

「おうおう、喜多は格好いいね~……池本さんの受け売りなのに!」

「おい、それは言うなよ!」

「あの~……池本さんて?」

「……そのうち会うさ」

「覚悟しとけよ、喜多と比べ物にならないくらいにおかしな人だからな!」

「お前に言われたかねぇよ!」

「……強いんですか?」

「「それは保証する!」」

「じゃあな、将士!絶対東京に来いよ!」

「はい、その時はお願いします!」

「将士、喜多の阿呆が染るなよ!」

「お前のが馬鹿だろ、西田2世!」

「おい、だから酷ぇって言ってんだろ!」

喜多と手塚は言い合いをしながら、新幹線乗り場に行ってしまった。最後まで賑やかな2人であったが、将士ははっきりとプロボクサーになり東京へ行くと言った。将士の強い思いと、確かに変わって来ている事が感じられる。これからの将士に期待したい所である。

将士の目指す所、見えて来た様に思います。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 上京する将士、更なるボクサー陣と出会うことで更なる成長がありそうですね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ