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4_門番と紺碧の目の少年

 銀脇(ぎんわき)に連れられて食堂をでた(すばる)とトンボは、数分後、公園のベンチでぐったりしていた。


「ごめん」

「面目ねぇ」


 ベンチに座り、息も絶え絶えの状態で謝る昴とトンボ。

そんな二人に銀脇が慌てて手を振る。


「いやいや、俺こそごめん。そうだよな。町酔いするよな。大丈夫か?」

銀脇はベンチに座った二人を心配そうにのぞき込む。


「少し休めば多分……」

「俺も……」


 全く大丈夫ではなさそうな様子で答える二人を見て、銀脇が、よしっ、と声を上げる。

どうしたのだ? 、と、不思議そうな顔で見つめる昴に銀脇が答える。


「俺が行ってきてやるから、昴とトンボはここで待ってろ!」

「えっ! それはいけません!」


 慌てる昴とトンボに銀脇が胸を張る。

「大丈夫! 俺に任せとけって! ここで待っていろよ!」


 そう言うと止める間もなく銀脇はさっさとベンチを後にしてしまう。


「……行ってしまいましたね」

「……あぁ」


 残された昴とトンボは町酔いのせいもあって、ベンチで待つことしかできなかった。


 それから小一時間の後。


「なぁ、お前たち何者なんだ?」

息を切らしてベンチに戻ってきた銀脇の最初の一言はそれだった。


「えっ?」

驚く昴に銀脇が続ける。


淡路あわじが会うって。今すぐ来いってさ」

「淡路……さん?」


 話が見えないと言いたげな顔でたずねる昴を銀脇が疑わし気な目で見つめる。

と、ふぅ~、と一度大きく息を吐いた。


「だよな。知らねぇよな。町酔いのことも知らなかったし、俺の銀髪にも驚いてたし」

それに、と銀脇は言葉を続ける。


「お前の目、綺麗だもんな」

「……?」


 なんのことかわからず、ただ銀脇を見つめることしかできない昴を見て、銀脇が笑う。


「こっちの話。淡路ってのが、さっき話したいろんなことを知っている奴。ちょっと会うのが大変な奴なんだけど、今回はアイツが招待してくれるって言うから、すんなり会えるぜ」


 そういうと、町酔いはもう大丈夫か、と銀脇が二人にたずねる。

昴が、どうにか、と答えると、じゃあ行こう、と銀脇が手を差し出す。


 ありがたく差し出された手につかまりベンチから立ち上がると昴たちは公園を後にした。


 どこまでも真っ青な町中を歩くこと数分。

そろそろまた気分が悪くなってきた昴が少し休みたいと言おうか悩んでいると。


「ついたぞ」

そう言って銀脇が大きな門の前で立ち止まった。


「えっ、ここですか?」

「おいおい、淡路って何者だよ」


 目の前の門の大きさに町酔いなどあっと言う間に吹き飛んだ昴とトンボが驚きの声をあげる。


 無理もない。その門は見上げるほど高く、両脇には屈強な門番が長い槍を片手にこちらを睨みつけている。

しかも、淡路とやらがいるであろう建物は門のはるか先に僅かに見える程度だ。


 どう考えても未成年かつ極めてカジュアルな服装しかしていない昴たちが来ていい場所ではない。


「あの、銀脇……」

せめて服装を整えてから出直そう、といいかけた昴の言葉は門番の野太い声に掻き消される。


「銀脇じゃねぇか。正門から堂々くるとはいい度胸だな」

「俺たちは庭守りの爺さんとは違ぇぞ。簡単に突破できると思うなよ」


 そう言って槍を構える門番に銀脇は顔色一つ変えずに近寄る。


「おい、銀脇!」

慌てて止めようとするトンボに銀脇が、大丈夫だって、と笑いかける。


「おいおい、今日は淡路からのご招待なの。連絡きてないなら確認してよ」


「えっ、淡路様のご招待? 嘘だろ」

「すぐ確認するから、ちょっと待ってくれ!」


 門番が慌てて屋敷と連絡を取ろうと門柱につけられた通信機を手に取ろうとすると。


「本当だよ」

いつの間にか門の向こうに一人の少年が現れ、門番に声をかけた。


「おい、ちゃんと連絡しておけよな」

「ごめん、ごめん」


 文句を言う銀脇に大して悪びれもせずに少年が謝る。


 銀脇よりも更に明るい、銀というより白に近い髪と透けるような白い肌、そして青空のような紺碧の目をした少年。

彼こそが。


「淡路様、失礼いたしました!」


 淡路、その人だった。





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