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テストの始まり

駿弥視点です

「……おはようございます、先パイ、会長。」

「おはよー。体調はいいっぽいね。大丈夫?」

「はい。問題はありません。」


今日は4月最初の土曜。先パイが言っていた、不良グループとやらを潰しに行く日だ。

先パイは、これは俺の実力を測るテストだと言っていた。この半月ほどでどの程度動けるようになったか、これからの特訓のスケジュールをどうするか。これで決められるらしい。実戦は初めてだから、そこまで強くないところを選んである、気負わなくて良い、とは言われたが、先パイの行うテストだ。無様な姿は見せられない。必ず結果を出さなくては。


「んじゃ、まずは軽く体を温めようか。車の中で打ち合わせね。10時に出るから、それまで適当にやっといて。景介、準備はできてるね?」

「はい。一応、今回は駿弥くんの初陣ということで、治療用セットも多めに。着替えもございます。駿弥くん、ジャージを用意しましたが、かまいませんか。」

「はい。ありがとうございます。」


先パイも会長も、特段気負っているような雰囲気ではない。俺も、いずれあんな風になれるように努力しなければ。

出発までの時間、念入りに体を動かし、体全体を解していく。いつもやっている特訓と同じようにストレッチを進めれば、体も十分温まってきている。


「よし、そろそろ行こっか。駿弥くん、こっち。」

「はい。」


車に乗り、会長が手元の資料を示しながら説明をしてきた。


「今回は大人が6人、学生3人の薬売買に関する取引です。学生は、東部高校2年2人、同校1年1人。自己使用目的の買い手です。売買は4回目、先の3回はいずれも総量3g以下の少量ですが、量自体は少しずつ増えています。」

「初犯じゃないんですね。高校生が……。」


自分と同世代の学生が、複数回違法薬物を買っているという事実に、今更ながら非現実感を味わった。ドラマの中の話ではない。実際に、俺のすぐ身近で起こっている事件だ。


「最近はね、ほら、脱法ハーブとか。あれ、一時期話題になったでしょ。それで学生って興味出ちゃうんだよね。手出す奴多くてさぁ。そっからだんだん薬にも興味持って買っちゃうんだよね。規制されてても、隠れて売る方法なんていくらでもあるからね。」

「あぁ、なるほど。マスコミの弊害ですね。」

「そゆこと。まぁ、今日は学生も警察行きかなぁ。さすがに4回は見逃せないよねぇ。」

「はい。大人に関しては、全員身元を洗い出し、取り調べをいたします。なので、本日夜はお側を一度。」

「オッケー。駿弥くんは今日学生を相手してもらうね。大人は俺がやるから。学生が銃持ってるとは思わないけど、ナイフとかさ。気を付けて。」


これまで、刃物を持った相手を想定した訓練はしている。かわし方は分かっているが、動揺したら終わりだ。気を強く持って対峙しなくては。今日の目標は、先パイたちにストップをかけられることなくやり遂げることだ。

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