表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/290

俺の平凡な日常

景介視点です


ここから景介の過去話をしていきます

「貴斗、おはよ。」

「おはよー、景介。」

「うわ、また怪我増えてる。もー、朝から喧嘩してきたの?手当てしないと。……怪我するくらい危ないんだから、やめればいいのに。」


いつものように、友達である貴斗の家に行くと、頬の切り傷からうっすら血を流した貴斗が、ヘラリと笑って待っていた。

前々から喧嘩好きで、よく喧嘩していたし、怪我も日常茶飯事だったけど、最近は特にひどい。危ないんだから、ちょっとくらい我慢してほしい。俺だって心配になる。

そんな俺の気持ちなんてまるで知らない貴斗は、笑みを崩さないまま文句を言ってきた。


「えー、やだよ。喧嘩、楽しーんだもん。それに、それを言うなら、向こうも悪いと思わない?懲りずに何回も来んだもん。」

「そういう問題じゃないよ。ほら、顔横向けて。……もー、何やったらこんな傷できるの?」

「あははー。」


笑って誤魔化す貴斗にため息をつき、絆創膏を貼る。

ずっと貴斗と一緒にいるけど、都合が悪くなると笑ってかわす悪癖は変わらない。そうすると周りが察してくれると、こいつは幼いときから知ってるのだ。悪賢い奴め。

貴斗のヘラヘラした態度は、学校にいてもまったく変わらない。そのくせ、大人の怒らないギリギリのことまでしかしないから、滅多に怒られない。要領も良いし、頭もいいのだ、この困った幼馴染みは。

今日も問題なく学校を終え、貴斗とともに帰宅する。俺も、父さんが貴斗の家で働いているから、貴斗の家に行って、父さんと帰るのが恒例だ。今日もそうなっている。


「ただいまー。」

「お邪魔しまーす。」

「お帰り、坊っちゃん、景介。」

「景太郎おじさん、もう坊っちゃんって呼ばないでよ。俺は親父に、後継者の1人って認められてんだから。」


俺たちを出迎えたのは、俺の父さんだ。

いつも忙しそうにしているのに、今日は出迎えられるくらいの余裕があるらしい。


「おや、私が親父に聞いたのは、中学生になったら若として認めるというものですよ。」

「ちぇ。これくらい、誤差にしてくれてもいいのに。」

「あと半年の辛抱です。景介、いつものところにおやつがある。持っていきなさい。」

「はーい。貴斗、先行ってて。」


貴斗を置いて俺は1人で台所に向かい、おやつとコーヒーを2セット持っていく。忘れずにミルクとシュガーも。

コーヒーはまだ苦くて、ブラックでは飲めたものじゃない。貴斗も、ブラックで飲むときは眠気覚ましとして使ってるみたいだから、俺が子供なわけじゃないけど。

貴斗の部屋に入ると、もうすでに宿題を広げて待っていた。


「お待たせ。」

「ん、ありがとー。」


ここからは、黙々と宿題を進める。幸い、俺も貴斗も頭はいい方だから、すぐに終わる。そしたら、おじさんの稽古だ。

貴斗の父さんで、ここの組長でもあるおじさんは、とっても強い。俺からしたらすごく強い貴斗でもあんまり勝てない。だから、貴斗と俺はおじさんに体の使い方を学ぶという名目で、格闘技や護身術をおしえられている。

正直、喧嘩好きな貴斗ならまだしも、俺は別に今まで殴り合いの喧嘩なんてしたことないから、いらないと思うんだけど。


「おう、やっと来たな。……貴斗、それは。」

「ちょっとね。後でいいじゃん。」


おじさんの睨みも飄々とかわし、貴斗はさっさと準備を始めた。

今日もきっちり稽古をこなし、俺は疲れた体を引きずりながら、父さんと帰宅した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ