頭の痛い事態
景介視点です
説明から解放された俺は、若に連絡を入れた。
「もしもし、景介です。若、お時間いただきありがとうございます。今、説明は終わりました。」
『そ。分かってくれた?』
「はい。人選も、怖くなければ、とのことでしたので、戻り次第早急に組みます。報告書および始末書は明日朝までに提出いたします。」
『オッケー。そっちは任せるよ。いいように采配してやってね。景介が戻ってきたら引き上げるから、車に来てね。』
「承知いたしました。後処理をしていただき、ありがとうございます。すぐに戻ります。」
やはり若に後処理のすべてをさせてしまっていた。申し訳ない。これは今後の働きで取り戻さなければ。
急ぎ若の元へ戻り、共に家へ帰る。家に着いたら次は、それぞれの担当から報告を受けつつ、若との情報共有だ。
「手引きした奴等は全員お縄なんだよね。景介が手出す?」
「……いえ。本日はしなければならないことも山積しておりますので。今回は遠慮させていただきます。」
「珍しいね。取り調べで景介が引くなんて。……あの子の事なら、別に気にしなくてもいいのに。景介の責任じゃないんだからさ。」
若はそう言ってくださるが、やはり俺の責任も少なからずあるように思う。周囲の状況をもっと見ておくべきだったし、一般人が入り込まないように対策を立てておくべきだった。それは俺の業務の内だ。それを怠った責がある。それに、それでなくても、もうすでに彼女にはこれで3回もこちらの顔を見られている。
……考えれば考えるほど、隙が多すぎて、さすがにへこむ。これでよく若の右腕を名乗ってるもんだ。他の奴が同じことをしてたら、問答無用で左遷するレベルだ。俺ならそうしてる。
「……なーに自信喪失してるの?今日のは偶然の事故みたいなもんでしょ。そんなの、ノーカンに決まってんじゃん。シャキッとしなよ。」
俺の顔を見て、若がお優しい言葉をかけてくださる。若に気を遣わせてしまうなんて、よほど沈んだ顔をしているのだな、俺。
「いえ……。若にご連絡した後、彼女と話をしましたら、過去にも二度ほど見られていたようで……。文化祭2日目の裏街で見かけた制服は、彼女だったようです。他にもそれ以前に一度……。」
「裏街って、その子だったの?とんだ悪運持ちだねぇ。この件じゃなくても、その子大丈夫かな。」
軽い口調とは裏腹に、若は顔に心配そうな色を乗せている。若のその表情に、俺も心底同意する。
「再三言い聞かせましたので、さすがに今回の自身の身に起こっている危険性は理解したと思いますが、しばらくは目を離さない方が賢明かと。もし1ヶ月でも不足するようでしたら、再度人選を行います。」
「うん、そだね。判断は任せるよ。もしその子に某かの手が伸びるようなら、すぐ報告して。茶戸家として対応するのも吝かじゃないからね。」
若の言葉に、俺は頷いた。茶戸家として対応するというのに驚かないでもないが、裏の世界の脅威から表の世界を守るというのは茶戸家の業務の範疇だ。その一環と思えば、おかしなことではない。
俺は突如として増えた仕事に内心ため息を吐きながら、若へと報告を続けた。
次話から初音視点が始まります




