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面倒な説明

景介視点です

『もしもーし。景介?連絡遅かったねー。どうしたのー?』

「ご連絡が遅くなり申し訳ございません。少々問題が発生しまして。」


若に一連の流れを説明すると、やはり困ったように唸り声をあげてきた。どう対処すべきか、苦慮されているのだろう。


『なるほどねぇ……。まさかそんな子がいるなんて思わなかったけど、いるんならしょうがない。景介、バラしてもいいけど、1ヶ月警護ね。人員は適当に見繕って。』

「承知いたしました。お手数をお掛けしてしまい申し訳ございません。私はこちらの対処をいたしますので、現場をお願いしてもよろしいでしょうか。私の確認までは終わっています。」

『オッケー。終わったら車で待ってるよー。』


通話を終え、彼女の方へ足を向けると、所在なさげに立ち尽くしていた彼女が、俺の接近に、俯かせていた顔を上げ、俺の顔を見た。


「……あの……。」

「許可が出ました。今からお話しします。どうぞこちらへ。」


腰かけられる場所まで誘導し、ハンカチを敷き座らせる。

何と説明したものか。若から許可はいただいているから、俺が組員として茶戸家で動いてることは言ってもいい。今日のこともボカして言えばいいだろう。1ヶ月の警護について……16そこそこの女子高生が1ヶ月もの間おっさんーー組員は基本男しかいないし、年齢もどう転んでも高校生より遥かに上だーーに見られることを容認するだろうか。……俺が納得させるしかないのか……。面倒な……。


「……仕方ない。水輿さん、今この場でできうる限り簡単にご説明します。疑問などは遠慮せずお聞きください。まず、私についてです。貴女の通う旗下高校の生徒会長、湧洞景介と同一人物で間違いございません。」

「あ……やっぱり会長なんだ。前見たときも思ったんですけど、雰囲気変わりますねぇ。」

「……前?ちょっと待ってください。前ってなんですか。いつの話です?」

「えぇ?いつって……文化祭の2日目だったかなぁ……。駅南にいましたよね?」

「あれも貴女だったのか……!あぁ……なんてことだ……。」


帰り際見かけたあの制服姿は、この子だったようだ。二度も見られていたなんて……。俺は額に手を当て、止まらない頭痛を抑えるように項垂れた。


「生徒会室で見たときも思いましたけど、私、今の会長の方がかっこいいと思いますよ。」


……訂正。見られていたのは3回だ。気が抜けているとしか言いようがない。


「……事情があって、会長のときはキャラを変えているんです。先いいですか?今のこの格好に関しては、私が茶戸家で幹部補佐を担ってるからです。」

「茶戸家って……茶戸センパイのおうちの?」

「えぇ、そうです。」


俺が彼女の指摘した格好を指しながら言うと、少し驚いたように眉を上げ、なるほど、と納得したのかどうか分からない声色で応えた。

とてもやりにくい。こちらの気が削がれるようだ。早く話して早く若の元へと向かおう。うん、それがいい。


「それで、今日貴女に理解していただきたい本題ですが……。先ほど申し上げた倉庫ですが、本日あまりよろしくないことが行われていました。詳細は申し上げられませんが、通常でしたら、一般人を排しておかなければいけない状況でした。」

「よくないこと……。そ、それって、センパイのおうちが」

「茶戸家はそんな下劣な真似はしません。あんな下等な奴等と同じにしないでいただきたい。」

「え、あ、すいません……。」


驚き、少し怯えたように目を伏せた姿を見て、ため息をつく。何をやっているんだ、俺は……。一般人から見れば、きっと大差のないことなのだ。同じヤクザ、怖くて悪いことをやっているんだろう、よく分からない奴ら。ムキにならず、それも丁寧に説明すればいいことだろうに、俺という奴は……。


「んんっ……。茶戸家はそれを潰しただけです。それで、ここで問題となるのが、貴女の身の安全です。」

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