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やっと会えた

貴斗視点です

「いやー、初音ちゃん、いい目持ってるよなぁ。貴斗、言っただろ?お前は俺が唯一、絶対敵わないって思ってる、すげー男なんだって。」

「……。」

「……貴斗?どうしたんだ?」


機嫌良さそうに話している景介を尻目に、俺は黙り込んで先程までこの場にいたあの女の子のことを考えていた。

宇咲初音。脳裏に思い浮かぶのは、あの日俺に笑いかけてくれた女の子のことだ。

不思議そうな顔で俺を覗き込んでくる景介に、俺は声色を変え、その名を呼んだ。俺の意図を察したらしい。景介はすぐに姿勢を正し、雰囲気すらガラリと変え、俺を見てくる。


「景介、8年前の。覚えてる?俺がずっと探してた子のこと。」

「もちろん、覚えております。若。」


家にいるときの態度だ。俺は茶戸家の若、景介は俺の側近としての顔をしている。


「やっと見つけた……。景介、初音のこと調べといて。」

「はっ……。もしや今のが?」

「うん。宇咲初音。8年前のあの子だ。」


抑えきれない興奮で、身体中がゾクゾクしてくる。上がってくる口端を止めることができない。そんな俺に、景介も嬉しそうな声を出した。


「若の長年の思いが成せる業ですね。私も大変喜ばしく思います。」

「俺も嬉しくてたまらない。まさか8年も経って再会できるなんて……。俺は、初音があの子だって裏取りをする。情報は任せたよ。……どんな手使ってでも、必ず手中に収めてみせる。」


初音があのときの子なら、必ずブレスレットを持っているはずだ。今も俺の首にかかっているこのネックレスと同じデザインの。さっき見た限りじゃ、それっぽいものはあったけど、まだ確証は得られていない。それさえ確認できれば、あとは俺の独壇場にできるだろう。

不敵に歪んだ笑みを浮かべ、独りごちる俺を見て、景介は静かに頭を下げた。


「御意に。何があろうと、若の仰せのままに事を運びましょう。」


顔を上げた景介は、満足げに微笑んでいる。俺も同じように笑みを返した。

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