表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
275/289

嬉しい連絡

初音視点です

「え、本当ですか!?」

『うん。大事件もあったし、心配だから1回戻るよ。3日後の夕方には着けるし、次の日は1日フリー。3日目の早朝には帰るけど、そっちにいる間はずーっと初音のそばにいるよ。』


貴斗さんからきた連絡に、私は喜々として声をあげた。

なんと、貴斗さんが帰ってくるのだ。しかも、1日お仕事なしで私のそばにいてくれるらしい。

貴斗さんと離れて、これまで一度も会わなかった。こうして連絡をとることも少なかった。それが、こうしてゆっくり会える時間があるなんて、嬉しすぎる。


『初音とゆっくり話したいなって思ってたから、戻れる時間が作れてよかったよ。空いた1日、デートしようね。』

「はい!」

『じゃあ、また3日後。楽しみにしてて。』


電話が切れてからも、嬉しくてしばらく胸が高鳴っていた。

何をしよう。久しぶりに会う。貴斗さん元気かな。少しでも休んでゆっくりしてほしい。けど、デートもしたい。

そう思いながら部屋でジタバタしていると、お兄ちゃんが部屋の外から声をかけてきた。


「初音、晩飯だぞ……って、何してんだ?」

「お兄ちゃん!聞いて、貴斗さんが帰ってくるんだって!」

「え、終わったのか?」


お兄ちゃんも驚きて目を丸くしている。

残念ながら、終わったから帰って来るわけじゃない。そうじゃなくて、と貴斗さんとの電話のことを話すと、お兄ちゃんも納得の表情で頷いた。


「やっぱ心配かけたよなぁ。あっちだって大変だろうに、こっちに帰って来る時間捻出してまで来るなんて……ほんとお前愛されてるよな。」

「え、やだっ。急に変なこと言わないでよ、お兄ちゃん。」


しみじみとそんなことを言うお兄ちゃんに、私は顔を赤くして叫んだ。

あ、愛……されてるなんて、そんな、恥ずかしい。もちろんすごく大事にされてるのは分かってるけど。


「なんだ、初音。まだ慣れないのか?」

「うぅ……。慣れないよ、いつまで経っても。貴斗さんみたいなすごい人に、大事にされてるなんて……どんな顔したらいいか分かんないし……。」

「いい加減慣れりゃいいのに。」

「分かってるよぅ……。」


私は熱い顔を手で煽ぎながら頷いた。

私がこうやっていつまでも子どもっぽいままだと、だめだよね。……もしかしたら、そのせいで貴斗さんにも余計な心配かけるし、いつまで経っても恋人としての進展もないのかも。


「うん、そうだよね。私も頑張らないと。ね、お兄ちゃん。貴斗さんが帰ってきた次の日のデート、お昼は私がお弁当とか作ってもいいよね。むしろ、作るべきだよね!」

「んあ?あー、まぁ作れば喜ぶんじゃねー?前回のも好評だったわけだし。また作るのか?」

「うん、そうする。メニューは、やっぱり貴斗さんは和食が好きって言ってたから、今回もその方向で決めたいんだけど、お兄ちゃんは何がいいと思う?」


私の相談に、お兄ちゃんは私と一緒になって考え込んでくれる。

お弁当の中身をどうするか。たったこれだけなのに、なかなかいい案が浮かばない。お弁当の中身を考えるのって、けっこう大変だ。


「デートするってんだろ?じゃあ汁物はナシだよな。普通の弁当の中身ってなんだ?」

「えっと……おにぎりとか?卵焼きと……唐揚げはどうかな。うーん……あんまりパッと思いつくものって少ないかも。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ