表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
259/289

作戦終了

孝汰視点です

ガンっと扉の鍵を破壊する音がして、僕は画面越しに薄暗い地下室の中を見渡した。


『初音!』


一番に反応したのはやっぱり貴斗兄ちゃんだった。貴斗兄ちゃんの叫び声のすぐ後にカメラが一斉に室内の奥へ向かったのが分かる。

カメラが向かった先に、うずくまる人影を見つけ、僕は思わず大声を出した。


「初音姉ちゃん!大丈夫!?様子は?どうしたの!?」

『……ひどい。おい!病院の手配!急げ!』


ぐしゃぐしゃに乱れた髪に泥だらけの服、そして赤黒く変色した左頬に、僕たちは腹の奥に嫌な冷たさを感じた。


「たか、とさん……。」

『初音!意識があるんだね。怪我の程度、分かる?』

『お嬢、大丈夫ですか。……これは……本当にひどい。顔、痛みは?』


現場の組員が慎重に確認していくのを、焦れったい気持ちで待つ。初音姉ちゃんも周りにいるのが茶戸家の人間だと分かったのか、組員からの問いかけに素直に答えている。


『若、ひとまず移動します。大きな怪我はこれ以外にはなさそうとのことなので、安心してください。』

『ん……。ね、誰かちょっとだけ初音にインカム代わって。……初音、聞こえる?』

『貴斗さん!はいっ……。聞こえます……!よかった……。貴斗さんなら絶対に助けてくれるって、信じてました。』

『初音……。よかったよ、助けられて。顔の怪我、あざになってる。痛いよね。他には?痛いとか、変な感じするとことか、ある?いつもと違うとこがあったら、全部言って。』


貴斗兄ちゃんがインカム越しに声を掛けると、、初音姉ちゃんの声色が安心したように明るくなった。貴斗兄ちゃんからも安堵と心配が声から伝わってくる。

貴斗兄ちゃんたちは少しだけ2人だけで話して、すぐに初音姉ちゃんがインカムを返して通話が終わった。そして、すぐに病院へ行くということで初音姉ちゃんは地下室から外に連れ出されていった。これで、初音姉ちゃんの救出っていうメイン作業は終了だ。後はいろんな物品の押収と片付けをするだけだ。


「貴斗兄ちゃん、初音姉ちゃん見つけられてよかったね。」

『……。あぁ、本当に。ちゃんと初音を家に帰せて、よかった。』

「じゃあ貴斗兄ちゃん。後は手筈通り、片付けとかしてくね。全部終わったらまた連絡するから、少し休んで。」

『うん。分かんないことあったらなんでも言ってくれていいからね。あ、あと、初音が落ち着いたら連絡したいし、すぐ教えて。』


貴斗兄ちゃんの頼みに頷き、改めて現場の組員に指示を出す。

初音姉ちゃんの救出は終わった。後始末と最終報告が残ってるけど、僕の役目も終わりが近い。


「みんな分かってると思うけど、取り漏らしがないように気をつけてね。ここで僕たちが報告したことを、貴斗兄ちゃんたちが調べるんだから。」

『うす。俺ら全員、散々若に鍛えられてるんで、心配無用ですよ、坊っちゃん。』

「確かに。じゃあ、終わったら僕に連絡ちょーだいね。」

次話から貴斗視点が始まります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ