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景介さんとの関係

舞菜視点です

ひとまず全員で先輩の家に向かい、必要な人にそれぞれで現状を説明することにした。私は当然景介さんだ。


「……てことで、本人は大丈夫って言ってるんですけど……。私とか初音ちゃんは休んでほしいって思ってるんですけど、景介さんはどう思いますか?」

『先ほど、治療を担当した医師から駿弥の状態について詳細の報告がありました。写真で確認をしましたが、深めの傷で、少なくともこれまでと同じように護衛役をこなすには時間が必要かと。若も私も、駿弥1人での護衛は困難と判断しました。この後、私からも駿弥に連絡をしますので、そこで話しておきます。』

「やっぱり!もう、駿弥くんてば、頑固なんだから。じゃあ景介さん、よぉく駿弥くんに話してください!お願いします!」


景介さんからの言葉に、私は胸を撫で下ろした。

景介さんが話してくれるんなら、駿弥くんだって、私たちが言うよりも納得してくれるだろう。これでちょっとは安心だ。


『ただ、そうなると代替の護衛確保が急務ですね。それについても、こちらで検討するので、舞菜はこちらが問題ないと判断するまで1人でフラフラ出歩かないように。いいですか?』

「分かってますよ。さすがに私も、危ないって分かってますし。家で大人しくしてます。」


その後もつらつらと景介さんから注意事項や小言を言われ、私も少し言い返したりしながら通話を終えた。

今日もまた、景介さんは口うるさく色々と言ってきたけど、まぁそれも心配してくれてるからって思えば、ちょっと彼氏との電話感あるんじゃない?

別の部屋に行った駿弥くんや初音ちゃんを待ってぼーっとしていると、廊下から足音が聞こえてきた。


「舞菜姉、今1人?時間ある?」

「あ、美南ちゃん。うん。1人だし暇してるよ。どうしたの?」

「ほんと?じゃあちょっと手伝ってほしくて。今日のお昼当番がみんな駿弥兄の方行っちゃって、ご飯作る人がいないの。」

「オッケー、任せて。料理は得意なの。」


美南ちゃんからのお願いに快く頷いて、一緒に台所へ向かう。

やっぱり、駿弥くんのけがはみんなが集まっちゃうくらいの大事だ。私もできることは手伝いたい。


「今日のお昼は何にしようかなー。舞菜姉、リクエストある?」

「んー、ここにあるやつだと……豚しゃぶとかどうかな。夏野菜盛々で。冷しゃぶなら食べやすくない?」

「そうね。じゃあ今いる30人分!頑張って作りましょ。」


美南ちゃんの言葉に気合を入れ直す。30人分なんて、小学校の林間学校以来だ。お昼まで1時間半。早めに取り掛からないと。


「ね、舞菜姉って景介兄と付き合ってるんでしょ?どんな感じなの?」


下準備をしていると、美南ちゃんから声をかけられた。

どんな感じ、かぁ……。


「うーん、多分見たまんまだよ。態度がすごく変わるわけじゃないし。……正直、茶戸先輩に対しての方がよっぽど優しいと思う。」

「あぁ……。分かるわ、それ。景介兄のアレはもう病気よね。舞菜姉、本当に景介兄でいいの?もっと正気の人いっぱいいるよ?」


呆れた表情で私を見つめる美南ちゃんに、思わず声をたてて笑った。

もっと正気の人。うん、確かに景介さん、正気かって言われると違うよね。茶戸先輩のこと崇拝してるし、お仕事に夢中だし。もっと普通で、漫画みたいな恋愛に向いてる人なんて、学校にだっていっぱいいる。


「でも、私は景介さんがいいよ。あれでいて、景介さんは気にかけてくれてると思うんだよね。まぁ、電話してても小言ばっかだし、何かあっても事情聴取から始まるし、彼氏としては落第点!って感じ。そこについては、私も思うところはありますとも。」

「あー、確かに景介兄そういうとこ無神経そうね。順番を良くも悪くも守るっていうか守らないっていうか。仕事バカなのは知ってるけど、まず彼女の心配をするのが正解っていうのが分かってない感じあるわ。」


美南ちゃんの評価に私は大いに頷いた。

景介さん、美南ちゃんにもこんな評価されちゃうくらい彼氏力ズタボロなんだよ。本当に茶戸先輩しか見てない。直せとは言わないけど、少しは自覚してほしい。

でも、私は今の景介さんにも、自分の扱いにもそれなりに満足してる。だって、私が好きになった景介さんは茶戸先輩しか見てなくて、優しくなくて、笑ってなくて、ちょっと冷たいお仕事モードの景介さん。優しく笑う会長じゃない。当初の宣言通り、私は二の次三の次。でも、3番目か4番目くらいには気にかけてくれてるし、大事にしてくれてる。


「私は大丈夫。だって、好きな人が恋人なんだもん。」

「……舞菜姉も、なんか景介兄に思考侵されてない?」

次話から貴斗視点が始まります

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