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心臓に悪い連絡

舞菜視点です

「駿弥くん!大丈夫!?」


日曜日の昼に急になった電話に、私は慌てて家を飛び出した。じれったい気持ちで迎えを待つ時間は、本当に心臓に悪かった。

駿弥くんが襲ってきた人に刺されたらしい。病院にいると聞いて、小さいけがではなさそうだと思った。

案の定、処置の終わった駿弥くんは、左腕にグルグルと包帯を巻かれ、頬にも大きいガーゼが当てられていた。一緒に待っていた初音ちゃんも、痛々しさに顔を歪めている。


「あ、2人共来てくれたんだ。心配しないで。ちょっと切れただけだから。」


駿弥くんの思っていたよりもいつも通りの声に、ひとまず安心する。

包帯は巻かれてるし、大怪我なのは間違いないんだろうけど。刺されたと聞いていたから、もしかしたら手術中かもとか、話せないんじゃないかとか色々ネガティブなことばっかり考えちゃってた。だから、そんな嫌な想像が全部否定されて、安堵で肩から力が抜けたのが自分でも分かった。


「その、刺されたって聞いたけど、ほんとに大丈夫なの?」

「え、あ、うん。刺されたってのは違くて。左腕切られただけ。傷も浅いし、動かすのも激しくなければ全然問題ないって。大げさに伝わっちゃったんだね。心配しなくて大丈夫だよ。」

「でも、包帯巻くくらいの大きな怪我なんでしょ?」

「うんうん!そうだよ。……ていうか、今回はなんで駿弥くんを?」


いつもは私とか初音ちゃんを狙ったものだった。でも、私は今日ずっと家にいたし、初音ちゃんもずっと部屋でお兄さんと一緒にいたってさっき言ってた。誰がなんのために襲ってきたんだろう。

私がそう聞くと、駿弥くんは少し考えながら口を開いた。


「たぶん、俺を狙ったんだと思う。貴斗の家に行く途中だったし、待ち構えられてた感じだった。推測になるけど、2人を狙うのに俺を排除しないといけないって気づいたんだろうな。」

「そんな……。」

「奴等にもそう思われるくらい、俺も脅威として認識されてきた。認められてきたってことだ。……望むところだよ。」


満足そうに笑う駿弥くんに、初音ちゃんと顔を見合わせた。

駿弥くん、本当に変わったなぁ。転校してきたときには、こんなに好戦的になるなんて想像もしてなかった。むしろ、こういう暴力的なことは苦手っていうか、興味がないんだと思っていた。喧嘩なんてしてるより勉強してる方が有意義とは考えてたと思う。

これも、茶戸先輩がよく言う、茶戸の影響力とかいうものなんだろうか。


「でも、駿弥くんもさすがにすぐ動けるわけじゃないよね。けがに障ったら大変だし、少し休んだほうがいいんじゃないかな。」

「うんうん。私も外出する予定ないし、いざとなったら畑もっちゃん招喚するし、大丈夫だよ。駿弥くんはいつもめちゃ頑張ってるんだもん、ゆっくり休みなよ。」

「でも、危ないでしょ。大丈夫だよ、このくらい。畑本先生も夏休み中は部活とかで忙しいみたいだし。今後も何かあったら遠慮なく言ってくれていいから。」


駿弥くんはそう言うけど、じゃあいいかとはとても思えない。

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