会長と舞菜ちゃんの恋愛模様
初音視点です
会長と駿弥くんが部屋を出ていき、舞菜ちゃんと2人になった私は、まだ口を尖らせている舞菜ちゃんに話しかけた。
「舞菜ちゃん。会長、また戻ってきてくれるって。」
「……うん。でも、ひどくない?もうちょっと、久しぶりに会ったんだもん。会えて嬉しい、みたいな。」
「うーん。会長は恋愛にはドライなのかな。貴斗さんへの対応見てたら、けっこう、その……情熱的?だと思うんだけど。」
「確かに!ま、いいけどね。最初に言われてたの。私は茶戸センパイより上になることはないって。1番が茶戸センパイってのは知ってるし、そこが変わることなくて、私が2番目か3番目くらいにいれれば、って思ってるから。」
会長と舞菜ちゃん……っていうより、舞菜ちゃんが達観した恋愛してるのかも。
舞菜ちゃんの言葉を聞いて、私は自分だったら、と想像してみた。
貴斗さんに私より大事な人がいて、その人より私を大事にすることはないなんて言われて、自分は貴斗さんの中で2番目か3番目……。
そんなの、想像するだけで辛い。
「舞菜ちゃんはすごいね。私なら、そんなこと言われたら耐えられないよ。」
「へへ。私も1番になりたいとは思うけど。でも、私が好きになったのは、会長じゃなくて、こっちの景介さんだから。あの景介さんが大事って言うんなら、しょうがないかなって。」
「そっか。」
明るく笑ってそう言う舞菜ちゃんは、本心から言っていそうだ。私も同じように笑みを返し頷いた。
最初舞菜ちゃんと会長が付き合うって聞いたときは驚いたし、大丈夫かなって勝手に心配していた。いつもの会長を見ている限り、女の子に興味あるとは思えなかったし、まして舞菜ちゃんのことは苦手そうにしていたから。
でも、こうして話を聞いてみると、案外会長も最初から舞菜ちゃんのことを嫌ってはいなかったのかなって思えてくる。大事にしている……しようとしているのは分かるし、舞菜ちゃんも幸せそう。
友達が幸せそうで、よかった。貴斗さんも会長が幸せなら嬉しいって言ってたし、貴斗さんが幸せなら、私も幸せ。
「景介さんたちが戻ってくるまで何してよっか。もー、今日はお泊り会だって思って、パーティーグッズ持ってきたのに。2人じゃ人数足りないよね。」
「わぁ、色々持ってきたんだね。トランプにウノ……カードゲームいっぱい。2人でやれそうなのってある?」
「んー、そうだなぁ……。」
舞菜ちゃんの持ってきたカードゲームを並べ、ルールを確認しながらいろんな遊びを試した。分からないなりに2人で考えながら進めていくのもけっこう面白くて、会長や駿弥くんが戻ってくるまで思った以上に盛り上がって遊んでいた。会長たちも、入ってくるときには少し難しい顔をしていたけど、私たちのはしゃいだ声に、表情を緩め声をかけてきた。




