各班の報告
貴斗視点です
今進められるまでの処理を終わらせた俺は、拠点内を回り各班の作業の確認を始めた。
「ね、今どのくらい進んでる?」
「若。備品類の点検は6割方終わりました。数点ダメになっているものや修理が必要なものがありましたが、概ね問題はないかと思います。」
「そ。ダメになったやつって、全体の計画に影響あるものじゃないってことだよね。」
「はい。こちらがリストです。2ページ目に4点、3ページ目に2点。分類としては通信機器や生活用品ですね。」
渡されたリストを見て、問題がないことを確認する。
俺は怠惰な親父の代わりに、実質的な監督者としてここにいる。各班の作業進行度を見て、指示を出さなくてはいけない。作戦開始予定日まで、あと1週間ほど。遅れがあってはいけないし、スケジュール通りを重んじて質が伴わないのもいけない。仕事量にクオリティーとスピードも問題なく完遂できて初めて、十全に作戦が実行できる可能性があると言えるんだから。
修理が必要なものも、後方支援部の中で対応可能、もし修理が間に合わなくても、代替品は手配済み。生活用品にしても、すでに調整が終わっていて、こちらも問題なし。
「うん、良さそうだね。ありがと、残りもよろしくね。」
「はい。」
備品管理班から離れ、他の班も順番に回っていく。とりあえず大きな問題はなさそうだ。
「若。今よろしいでしょうか。」
フラフラと拠点内を歩き回りながら見ていると、景太郎おじさんに呼び止められた。少し弱った顔をしているおじさんに、また面倒なトラブルが起こったことを察する。
「ん。どしたの、おじさん。」
「確認していただきたいことが。東方面を見回っていた班から報告がありましたので、共有させていただきたく。」
「オッケー。なんか面白いもんでも見つけてくれたのかなー。」
景太郎おじさんと連れ立って、報告を上げてきたという組員の元へ行く。すでに報告書をまとめている最中だったらしく、班長が数枚の書類を差し出してきた。
「若、お早いですね。」
「景太郎おじさんが教えてくれてね。何が会ったの?」
渡された書類に目を通しながら問うと、少し口ごもった後、事の次第を班長が説明してきた。
「3班……東方面の、……ちょうどこの区画ですね。ここを見回っていた班が、少々対応の必要な場面に遭遇したと報告を上げてきました。」
「……それがこれ?組員含め、関係者に怪我人は?」
内容としては、小競り合いがあったというものだった。ただし、うちの組員は第三者としてたまたま居合わせ、首を突っ込んだらしい。元は一般人に絡んでいた奴がいて、時勢を鑑みて迷ったものの、絡んでいた側が気になることを言っていたため手を出したということらしい。
「相手方を拘束する際に引き倒したとのことで、擦り傷をつけたらしいですが、絡まれていた3人にも組員にも特に怪我はないようです。」
「そ。その絡んでた奴はどこにいるの?身元は?」
「うちで確保しています。身元についてはすんません。まだ判明してません。」
「オッケー。んー、尋問どうしよっかなぁ。パンピーか筋モンかの区別はついてる?」
「……自称、江徒の午法をバックに持つ組織の一員、と言っています。」
うわ、面倒な。




