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寂しいし不安、だけど

初音視点です

「初音、行ってくるね。何かあったら、必ず俺に言って。駿弥とかりゅーちゃんといれば大丈夫だと思うけど、初音のことは俺が対応したいからさ。」

「もちろんです。貴斗さんも、けがしないように気をつけてくださいね。」


今日から貴斗さんが遠くへ行ってしまう。朝早くから出発準備をしていてバタバタしていたけど、つい先程それも終わり、荷物を積んだ車はもう先行して出ている。

私はつい離れがたくて貴斗さんとずっと話しながらその様子を見てたけど、それも終わりみたいだ。


「貴斗、今回は3ヶ月なんだろ?」

「うまくいけば、ね。でも、これで8割方やることは終わる予定だから。遠征も、これとあと1,2回で終わり。次のは近場で済ませられるはずだし、長く空けるのはこれが最後。」

「お前に限ってヘマするなんてことはないと思うけど、気をつけろよ。」


私の隣に立っていた駿弥くんが貴斗さんに少し心配そうな顔で声をかける。

駿弥くんも今日は朝早くから来て準備を手伝ったり、貴斗さんや会長と話したりしていた。

駿弥くんの言った通り、今回は3ヶ月くらいかかるそうだ。今までは半月くらいで帰ってきていたから、急に長期間になって、不安は増すばかりだ。


「若、そろそろ……。」

「ん。じゃ、駿弥。こっちは頼んだよ。」

「おぅ、任せとけ。」


握った拳をぶつけ合い、貴斗さんと駿弥くんが互いに顔を見て笑みを浮かべた。絶対大丈夫って信じてる顔だ。

貴斗さんは駿弥くんの肩を2回叩くと、次は私の方へ向き、優しく抱きしめてきた。いつも私を安心させてくれるあったかい貴斗さんの体温と爽やかな匂いに、私は安心を求めて顔を肩口に埋めた。


「貴斗さん、絶対に無事で帰ってきてくださいね。私、貴斗さんが帰ってくるまでここで待ってますからね。」

「うん。もちろんだよ。俺の帰る場所は初音の隣だもん。初音も気をつけて。もし何かあっても、駿弥とかりゅーちゃんに任せて。初音の安全が1番だからね。」

「はい。貴斗さんに心配かけないように気をつけます。」

「ん。じゃあ、行ってくるね。3ヶ月後、絶対戻ってくるからね。」


もう1回私をぎゅっとした後、貴斗さんは会長と一緒に車へ乗り込み、出発した。もうこれで、貴斗さんとは3ヶ月会えない。


「……貴斗さん、無事に帰ってきてくださいね。」


正念場と言っていた今回の遠征。毎日やることがいっぱいになるだろうし、連絡も必ずできるとは限らないらいい。私から連絡しても、もしかしたら何日も返事ができないかも、と。

こんなに長期間、顔も見れない、連絡もできるか分からない状態なのに、今から寂しい不安だなんて思ってたら、何もできない。

私は、ずっと心の中にある不安を消し去るように、ただ一心に貴斗さんの無事だけを祈った。

次話から駿弥視点になります

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