表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
192/291

デートのお誘い

景介視点です

「ぜぇったい絶対デートしてください!」


……まじでなんでこの子を選んでしまったのか、過去の俺。

目の前で駄々をこねるように叫ぶ俺のカノジョ……もとい水輿さんを見て、俺は深い深い、大きなため息をついた。

事あるごとに恋人らしいことをしたいと騒ぐ彼女を、俺は若干……いや、だいぶ持て余していた。嫌いではないが、ちょっと距離を置いときたいといったところ。

……交際が始まってからまだ2ヶ月といったところなのに、早くも倦怠期というやつだろうか。


「貴女ねぇ……。この忙しいときに……。」

「会長ずっとそう言って、連絡すらくれないじゃないですか。少しは彼女に優しくしてください!」

「……はぁ。じゃあその彼女様はどちらへ行かれたいんですか。」


強情な水輿さんに負け、俺は渋々ながらデートとやらに誘った。俺の態度にムッとしながらも、どこへ行こうか考え始めた水輿さんを放っといて、俺はこれからのスケジュールの調整を始めた。

正直、現状で悠長にデートしてる暇なんてあるわけがない。本来なら2学期真っ最中の今、学校にすら行けず仕事に明け暮れているのだから、時間が少しでもあれば仕事を終わらせなければいけない。

でも、若に大事にするように言われてるから。真面目に向き合えと言われてる。それに、この子は俺のことを肯定してくれた子。俺のこれまでを受け入れてくれた子。

逃がしちゃいけない存在だと、自分でも思った子だ。真面目に、大事に向き合わなければ。


「決めました!会長、テニス好きですか?」

「テニス……?好き、というかまぁ、嫌いではありません。」

「よかった!テニス場行きましょ。私、テニス好きなんです。」


意外とまともだった希望に、思わず胸を撫で下ろした。

よかった。遊園地とか水族館なんて定番スポットを言われても、楽しめない自信しかない。体を動かしていた方が、気も紛れるというものだ。


「分かりました。日だけは、こちらで決めてもいいですか?何分、仕事が詰まっているので、整理してからでないと。」

「もちろんです。あ、でも、なるべく早めにしてくださいね。」


じゃあ私はこれで、と帰っていく水輿さんを、俺は拍子抜けした気持ちで見送った。

……この話のために休日の朝っぱらから事務所に来たってのか?他に用はなかったのか。


「……ま、時間を取られないに越したことはないか。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ