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責任を取る覚悟を決めて

畑本視点です

「ふぁーあ……。ねむ……。」


昨日の親父さんの一言に興奮してまったく眠れなかった俺は、あくびを漏らしながら学校までの道を歩いた。

もう心は完全に入る方へ傾いてる。でも、ちゃんと調べて、俺に関わる人たちが理解して納得してくれるようにしたい。親父さんへの返事はもう少し後にしよう。

通学路を歩いていると、前から誰かが叫ぶ声がした。


「何だ?」


気になって目を向けると、ボロボロになった後輩の姿があった。


「なっ……。俊哉!何があった!」

「龍司さ……。よかった……。助けてください!学校であいつらが!」

「なんだ、言ってみろ。」

「あいつら、あの不審者共が急に!みんなやられちまった!」

「そんな……。くそっ……。俊哉、待ってろ。俺が全員助けるからな。」


後輩の様子と言葉に、俺は顔を青ざめさせて慌てて駆け出した。

まさか、俺の後輩が狙いだったのか?人数増やしたのは、狙いを定めたからか?何のため、何の必要があってこんな……。


「てめぇら!何やってんだこの野郎!」

「龍司さん!」


学校前の騒然とした中に飛び込んだ俺は、倒れた後輩と今にも殴られそうになっている後輩の姿を見て、怒りのまま叫んだ。

大柄な男5人。拳にはメリケンサックのようなものを嵌めている。

1人で相手取るのは手こずりそうだけど、瑛兄の弟分として稽古は積んである。まずは後輩たちをあいつらから引き離さなければ。


「おい、お前らどこの奴だ。」

「……お前か?茶戸に出入りしてるってガキは。」

「だったらなんだ。」

「上からお前おびき出せって言われてたんだ。まんまと引っかかりやがって。茶戸に対する手札になる奴だ。逃がすなよ。」


俺の姿を見て、リーダー格のような男が残りの奴に指示を出した。

それを聞いた奴等が、俺を囲むように集まってきた。


「久志!全員連れてここを離れろ!」


俺の指示に、かろうじて動ける後輩が倒れている奴らを引きずっていく。

これで一安心だ。ここで暴れてれば、その内誰かが警察でも呼んでくれんだろ。それまでの辛抱だ。


「可哀想になぁ、あのガキどもも。たまたまお前と仲良しだったってだけであんなボコボコにされちまってよ。」

「っ……。最初から、俺だけが狙いだったのか!あいつらは無関係なのにあんなにされたってことか!」

「お前はいつも茶戸んとこの暴れ馬といるからな。こうすりゃ出てくると踏んだが、思った通りだったぜ。」


ニヤニヤと汚らしい笑みを見せるそいつに、俺は拳を握りしめた。

後輩は俺のせいでこんな理不尽な目に遭ってんのか。俺が瑛兄たちと一緒にいたから。


「……くそ……。ぜってぇ許さねぇ……。」


悔しく情けない気持ちを奥底に追いやり、目の前の敵を睨みつけた。まずはこいつらをぶちのめさねぇと。

俺の仕出かした不始末の責任を取るのは、そっからでも遅くねぇ。

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