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帰り道

畑本視点です

「今日も勝てなかったのか、龍司。」

「……うるせぇ。」

「んだよ、拗ねんなって。かわいい奴め。川辺、黒島、サンキューな。もう今日はこれで終いにしよーぜ。」

「うっす。龍坊、最初よかよくなってるぜ。センスはあんだ。気張れよ。」


今日も今日とて稽古をし、連日と変わらず倒れ込むまで相手をしてもらった俺は、初日から見てくれている2人の言葉に少し安堵して礼を言った。

あの日、意気込んだものの、あれがだめこれがだめとダメ出しばかりくらった俺は、むしろ奮起し、この2人に毎日稽古をつけてもらっていた。意外にも丁寧に教えてくれる2人に、俺も安心して稽古をお願いできた。


「龍司、帰んだろ。今日は静木が親父についてていねーんだ。歩きで帰るぞ。」

「そうなのか。まぁ、俺は構わんけど。」

「んじゃ、景太郎呼んでくっからよ。」


茶戸が駆けていくのを見送り、俺は帰り支度を始めた。

茶戸も湧洞も、驚くくらい口うるさい。日が暮れる前に帰れやら、ここに来るときは必ず大人同伴やら。俺を一体何歳だと思ってんのか。お前らは俺の母親か。

今日も、茶戸と湧洞の2人がかりで俺を家まで送るつもりだ。そんなに俺のことを弱っちいと思ってやがると思うと腹も立つが、まぁ好きにさせといた方が面倒はない。たかだか1ヶ月半でこいつらの性格もよく知るところだ。


「おぅ、待たせたな。行くぞ。」


茶戸と湧洞に先導され、俺は帰路についた。

自分勝手に話しかけてくる茶戸を適当にいなしながら歩いてると、急に2人が立ち止まった。


「……おい、何だよ。」

「おいでなすったぜ。景太郎、分かってんな。」

「おぅよ。龍司、死にたくなかったら動くんじゃねぇぞ。」

「は?」


急に殺気立った2人を訝しげに見ていると、四方から何者かが俺たちに飛びかかってきた。


「血の気の多い奴めっ。」

「瑛史!こっちの2人は任せろ。」


俺が呆気に取られている間に、2人は驚く様子も見せず対応を始めている。

5人。5人の男が俺らを取り囲んで刃物を構えている。それに比べて、茶戸も湧洞も当然素手だ。こんな圧倒的不利の中、こいつら闘おうとしてんのか?


「おい!やめとけって茶戸!湧洞!」

「心配すんな龍司。こんなん、朝飯前だからよ。」


顔を青ざめさせた俺に向かって、いつものようにニヤリと笑うと、茶戸は目にも止まらぬ速さで拳を振りかぶった。

素手なのに、明らかに茶戸と湧洞の方が押している。刃物を持っているなんてモノともせず、2人は次々と倒していく。

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