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組員との交流

畑本視点です

「お前はほんとに弱っちいなぁ、龍司。」

「お前らが強すぎんだよ。くそっ……いてぇ……。」


今日は顔見せをする日だと言って、俺は朝から茶戸の家に連れられてきていた。早々に顔見せを終え、俺は湧洞相手に再び喧嘩を仕掛けていた。そして、当然のように負けていた。

端から見ていた茶戸は、からかうように笑いながら俺に近づいてくると、地面に倒れ込み俺に手を差し伸べた。


「お前の喧嘩の仕方は若ぇんだよな。勢いだけでおりゃー!ってとこが。もっと頭使えよ、南高だろ?」

「そうだな。龍司、瑛史に勝ちてぇんなら、今の喧嘩のスタイルは変えたほうがいいぞ。こいつ、野生の本能で喧嘩してきてるからな。考えなしに突っ込んでっても、躱されるだけだぞ。」

「……俺にセンスがねぇって言いてぇのかよ。」


茶戸も湧洞も好き勝手言いやがって……。

2人の言葉に、俺は不貞腐れて2人を睨みつけた。

勢いだけとか考えなしとか……。2人して俺を弱い弱いって言いやがって。


「つか湧洞!お前が俺を強くするってここに引っ張り込んだんだろ。助言の1つもしてみろよ。」

「言ってんだろ、頭使えってよ。」

「おーい、景太郎。親父が呼んでるぞ。早く行け。」

「まじっすか。今行きます!龍司、お前、稽古誰かにつけてもらえよ。親父には俺から言っとくからさ。」


慌てて走り去っていった湧洞の残した言葉に、俺は目を瞬かせた。

誰かに稽古。……喧嘩に稽古なんか必要か?まさかこいつら、毎日稽古なんてしてんのか?嘘だろ。


「景太郎が言うならそうだな。龍司、稽古相手見繕ってやるから、毎日ここに来いよ。」

「はぁ?意味分かんねぇよ!」

「お前の言う通り、強くしてやるための一環だ。お前は喧嘩の何たるかをまるで分かってねぇからな。まずは喧嘩の仕方ってのを叩き込むって寸法だ。」


湧洞の言ったことに、すぐその意を汲み、俺にその意図を説明する茶戸に、俺は胡乱な目を向けた。


「いや、俺を強くするのは湧洞で、お前じゃねぇ。あいつにやらせろ。」

「お前は俺の舎弟だろ?なら俺が強くすんのも同義だ。おい、川辺、黒島!ちっとこいつの稽古つけてやってくれ。」

「坊っちゃん。……あぁ、先程の友人っすね。龍司っつったな。こっちだ。」


俺の意見も聞かず、茶戸に呼び止められた2人が、俺に着いてくるよう言ってくる。ここの奴等はみんな自分勝手な奴だな。

連れられてきたのは、庭の一角。このバカみたいに広い屋敷には、これまたバカみたいに広い庭がある。その中で比較的開けた場所に着くと、さっそくといったように2人は構えた。


「龍司。とりあえず1回、いつもやってるみたいにやってみろ。それ見てやるからな。」

「……俺、茶戸に絡まれてから振り回されてばっかなんだが。」


仕方ねぇ。どうせこいつらも、俺が何言っても無駄なタイプだろうしな。

俺は諦めの境地でため息をつき、構えの姿勢を取った。

茶戸と湧洞にはまだ勝てねぇけど、俺だってここらじゃ名の知れた喧嘩の常勝者だ。少しくらいはいいとこ見せてやんねぇとな。

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