初対面
畑本視点です。
22年前、畑本先生と貴斗と景介の父、瑛史と景太郎の出会いからの過去話です。
畑本先生が高校生で喫煙をしている描写がありますが、推奨するものではありません。
ご理解のうえ、お読みください。
「ぅぐっ……。」
「はっ……はっ……。……はぁ。……ちっ。」
殴り飛ばした男3人を見下ろし、俺は舌打ちした。
地元で1,2を争う偏差値の南京高校へ進学したものの、俺は毎日のように学校をブッチし、喧嘩に明け暮れていた。親からの過度な期待や先公の不良という枠組みに入れ侮蔑する視線が鬱陶しく、生きづらく感じる。それを振り払うために喧嘩をしているが……。今のところその鬱憤が晴れたことはない。
壁際に座り込んで、タバコを取り出し火をつける。4ヶ月前に殴り倒した相手が持っていたものを興味本位で吸ってみたら、まぁまぁイケるものだったのだ。それ以来、喧嘩の後の一服はお決まりのものになっていた。
「……はぁ。次はどこに行くか。」
「お前が南高の龍司って奴か?」
タバコを口に咥えボーっとしていると、横から声をかけられた。
この俺に声をかけてくる奴がいるとは、怖いもの知らずな。そう思い声のした方を見ると、2人組の男が立っていた。
「おーおー、派手にやったもんだな。」
「……誰だてめぇら。」
ニヤニヤと周囲に転がっている男たちを見ながら、こちらに近づいてきた男が俺に再度声をかけてきた。
「お前が龍司なんだろ?南高の制服、ボンタンに短ラン。いやー、あいつが知らせてくれてよかったぜ。」
「瑛史、まじでこれのために学校抜けてきたのか?」
「おーよ。ここらで喧嘩強ぇ奴がいんなら、俺が腕試ししてやんねぇとな。おい龍司。俺と喧嘩しよーぜ。」
誰だ、って聞いてんのに、聞こえてねぇのか?あいつ。耳おかしいんじゃないか?
挑発的な笑みを浮かべ俺を見るそいつに、俺はタバコを地面に擦り付けて消すと、すぐに殴りかかった。
「おっと。いいねぇ、積極的な奴は嫌いじゃねぇよ。景太郎、これ頼んだ!」
「はいよ。」
もう1人は参加しないらしい。何のために来たんだ。意味分からん奴らめ。
軽快に俺の拳を避けていく男に、俺はついムキになってさらに拳を突き出した。
「つか……っ、誰だって言ってんだろうがよ!」
「俺か?俺は旗下高校2年、茶戸瑛史だ。覚えといた方がいいぜ、1年ボウズ。」
「旗下の茶戸……!?てめぇ、西高潰した茶戸か?」
半年前、西高で幅をきかせてた不良どもがたった1人の男に潰されたと噂が流れた。その男こそ、旗下高の茶戸という男だ。
西高だけでなく、近隣の中高で茶戸の手によって潰された奴は多くいる。そして、全戦全勝という噂も流れていることから、不良たちの間でも恐れられている人物だ。
まさかそんな奴が俺に喧嘩を売りに来るなんて。




