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俺が宇咲さんを守るべき理由

駿弥視点です

「今度は4日間か。」

「そうですね。貴斗も、今回は挨拶回りだけだと言っていたので、特に危険はないようです。」


今朝早く、また貴斗たちは遠方へ出ていった。今後のイザコザによりしっかり対応できるように、関係各所へ挨拶に行っている。

毎日の畑本先生との打ち合わせで、俺はこの4日間について、畑本先生に説明をしていた。


「ま、そんならあっちに問題はねぇな。ここの最高戦力が4人も行ってるわけだしな。」

「はい。景介からも、こちらのことに集中してほしいと言われています。むしろ、水輿さんも護衛対象に増えたので、危険なのはこちらかと。」

「そうだな。ちっ。面倒なときに……。駿弥、お前はとにかく、宇咲に集中しとけ。水輿のことは、ここの連中に任せればいい。こんなこと言うのもなんだが、水輿を傷つけられたとしても、湧洞はまだ使いもんになる。でも、宇咲を傷つけられたら、茶戸がどうなるか分からん。」


先生の口ぶりに、俺はふっと想像が浮かんだ。

水輿さんを傷つけられたら……。うん、景介は多少動揺はするかもしれないけど、たぶんすぐ立ち直る。それは水輿さんがどうなろうが関係ないとかではなく、優先順位の問題だ。景介も、今はまだ試験期間だと言っていた。景介の中では、水輿さんはまだ恋人(仮)みたいな存在なんだろう。

対して、宇咲さんは……。想像するまでもなく貴斗は大ダメージを負う。それがどんな形で表れるかは分からないが、とにかく精神的にダメージを負うのは間違いない。その動揺が敵に向かえばまだいいが、自分に向いたらあいつはどうなってしまうのか。変なところで自己否定感の強い奴だ。死んでしまうかもしれない。まぁ、敵に向かった結果、焼け野原になってるかもしれない、なんてことになっても困るが。


「ははっ……。笑えないですね。分かりました。俺は宇咲さんに付きます。先生はどうしますか?」

「……2人とも、俺の大事な生徒だ。ついでにお前もな。俺はリベロとして臨機応変にやる。3人まとめて面倒見てやるよ。」

「頼もしい限りです。では、4日間よろしくお願いします。」


打ち合わせを終え、俺はさっそく宇咲さんの元へ向かう。今日は貴斗のお母さんと家の掃除をすると張り切っていた。西の端からやると言っていたので、そちらに行けば見つかるだろう。

宇咲さんを探して廊下を歩いていると、顔見知りの組員に声をかけられた。


「ボウズ、お嬢は今道場に行ったぞ。早く行ってやれ。」

「ありがとうございます。」

「いや。お嬢にもしもなんてあった日にゃ、若が恐ろしいからな。それに、若がキレるってこたぁ、あの景介もだ。若も怖いが、景介のはその比じゃねぇからな。俺らのためにもお嬢のこと守ってやってくれよ。」

「?はい、もちろんです。」


その人の言葉に首を傾げながら、俺は素直に頷いた。

貴斗より景介の方が比じゃないほど怖いとは……。

景介も、こんな世界で生きてきただけの実力はあると思う。あの貴斗の右腕を務めているからには、少なからず暴力的な面もあるんだろうし、そうでなくても貴斗に喧嘩で勝ったことがあると言ってたんだ。強いのは間違いない。

でも、俺のイメージでは、景介は貴斗以上に頭脳プレイヤーだ。親父さんも景介の父親も、もちろん貴斗も、策略を練るのに不得手な質ではないから、景介が目立って策を練ってるわけではないが、貴斗にはない冷静さはあるし、貴斗の持つ喧嘩っ早さはない。


「……怒らせたら怖いってことか?」

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