デートの始まりだ!
初音視点です
私たちは施設を出て、近くの喫茶店に入った。
それにしても、貴斗さんはどうしてあんなにすぐに2人だけにすることができたんだろう。たまたま入ったあの施設で、舞菜ちゃんと会長を別行動にするとか、できるのかな。
私がそう考えていると、貴斗さんから声をかけられた。
「初音、俺に何か聞きたいことあるんでしょ。」
「あはは……貴斗さんに隠し事はできませんね。どうしてこんなに早く2人きりになれたんですか?さっきの施設に入ってすぐだったからびっくりしちゃって。」
「あぁ……。前に景介にオススメされて行ったいちごフェア、覚えてる?」
「はい。すごくかわいかったので。」
会長がまだ会長をやっていた冬に、駅前のカフェでやってたいちごフェアのことだ。店内もおしゃれで、フェアの内容も素敵だったから、よく覚えてる。それに何より、貴斗さんとしたデートだ。忘れるはずがない。
「それを景介に教えたのが、舞菜ちゃんだったんだって。」
「そうだったんですね!」
「うん。女の子らしく、甘いもの好きなんだろうって思って。その後にもたまたま、フルーツがメインのフェアによく行ってるって聞いたから、舞菜ちゃんはフルーツが好きなのかなって思ったんだ。それで、あの施設にフルーツをたくさん使ったメニューが有名なカフェがあるって見つけたから。入ったらきっと舞菜ちゃんは行きたがるだろうし、そしたら景介をそっちに行かせることもできるかなって。」
「わぁ、すごい!名推理ですね!さすが貴斗さんです。」
そんなちょっとの情報で、こんなにもすぐに思った通りの状況にできるなんて。私には絶対ムリだもん。
貴斗さんの説明に、私は感嘆の声をあげた。
あんなちょっとの時間で、そこまで考えてその通りにできるんだもん。貴斗さんにできないことなんて、ほんとにないんじゃないかな。
私が貴斗さんを尊敬の目で見ていると、貴斗さんは照れくさそうに眉を下げた。
「初音がそんなに喜んでくれるなんて、思わなかったな。さぁ、この後はどうする?夜7時までは俺らは2人きりで、自由にデートだよ。初音のしたいことして、行きたいとこに行って、2人で楽しもうね。」
「!はいっ。貴斗さんも、したいことがあったら一緒にしましょうね。」
貴斗さんの嬉しそうな笑みに、私も頬を緩めた。
このデートを、貴斗さんも楽しみにしてくれてる。めったにできないことだから、私も目一杯楽しまなくちゃ。
次話から景介視点が始まります




