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貴斗にとって生命に等しい存在

駿弥視点です

気まずい表情を浮かべる俺に、貴斗はキョトンとしてから腹を抱えて笑い始めた。


「あっははははっ。駿弥ってば、何の心配してるの?ずいぶんと野暮な話題を持ってきたね。」

「しょ、しょうがねぇだろ!……いや、野暮通り過ぎて下品だし失礼だったな……。」

「あはっ。相変わらずマジメー。このくらいの猥談、別にフツーでしょ。俺も慣れてるし。男子高校生なんて、そんなもんじゃん?」

「……お前はどの立場でそれ言ってんだよ。」


まるで他人事のように言う貴斗に、俺は呆れ顔で見つめた。

まったく、男子高校生なのはお前もだろ。


「ま、今のところ駿弥のその心配は、まったくの的外れと言って差し支えないかな。考えてもみなよ。俺は人生の中心に初音を据えた。俺は、初音に嫌われたらもう生きていけないくらいの意気込みでいるんだ。」

「……よく知ってるよ。毎日毎日すぐ横で、うっとうしいくらいにベタベタしてたもんな!」


それを毎日毎日横で見せられる俺の身にもなってみろ。当てつけのように延々と……!完全に嫌がらせだ。

恨みがましい俺の視線を無視し、貴斗は書類をめくる手を止めないまま話を続けていく。


「駿弥も分かってると思うけど、人間の欲求には明確に優先順位が設けられてる。」

「マズローの法則のこと言ってんのか?確かに、いわゆる三大欲求が満たされない状態では、他の欲求……身の安全や承認欲求は起こりにくい。それは知ってるけど……。」

「もっと細分化したところだよ。三大欲求の中にも、優先順位がある。睡眠欲、食欲、そして性欲。基本的に、性欲ってのは劣後に置かれる欲求だよ。当然だよね。寝ない、食べないは命に直結するけど、性欲なんて満たされなくても俺は死なないもん。」


あけすけな貴斗の言葉に、俺は耳を熱くしながら頷いた。

人間という種を存続させるために必要不可欠だから、人間の持つ欲求の中でも上位のものとして数えられているが、性欲が満たされないからといって今日明日死ぬわけではない。しかし、他の睡眠欲と食欲は、十分に満たされないといずれ命に関わるものとなる。


「ここで駿弥の懸念に立ち返る。俺が欲求不満……つまり、俗っぽく言えばムラムラしないかってことでしょ?そりゃするよ、男だし。まだ10代で枯れてもないしね。でも、俺がその衝動のまま初音に襲いかかる?いやいや、100%嫌われるに決まってんのに、そんなことできないって。俺は初音がいないと死ねる自信がある。なのに、生命より性欲優先させるわけないよ。」

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