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この世界のシステム

景介視点です


匂わせている程度ですが、未成年が飲酒しているような描写があります。

未成年の飲酒を推奨するものではありませんので、ご承知おきの上お読みください。

貴斗くんたちのいる世界にはそういう儀式があるんだな、という程度でお願いします。

俺の口ぶりに納得した駿弥は、リラックスしたように少し姿勢を崩し、ため息をついた。


「なんかさ……。いや、貴斗と景介が上役だからこういう雑事はやらないなんてキャラじゃないことは分かってるけど、裏では色々細々したこともやってんだな……。」

「いやいや……。言っても俺たちはこの組でも、この業界でも新参も新参。役についてるのだって、言っちゃえば縁故なわけだし、ここにいるほとんどの組員が先輩だよ。そしたら後輩の俺等が動かなきゃ。」

「……けっこー大変そうだな。この世界ってさ、そーいう上下関係ってのは何が優先されるんだ?」

「基本は所属した順。ただし例外。親父、若、姐さん、他親父の直系血族中、組に関わりのある方はどの年齢でも上位の存在として扱われる。」


俺の説明に、駿弥は面白そうに相槌を打っている。

やはりこの業界の上下関係というのは、他と比べると少し特殊だ。完全な年功序列というわけでも、実力、手柄で出世に大きな差が出るわけでもない。上役につくのだって、原則親父の血族からで、よほどの実力と親父の支持がなければ、赤の他人が若頭になることはそうない。


「この業界は狭いし、考えも古い。今時、嫡男がどうとか、誰と縁故があるないとか、普通に考えてありえないでしょ。」

「まぁ、そうだよな……。普通の企業ではあんま聞かない話ではある。」

「でも俺たちは、親父を中心とした家族の盃を交わすからさ。俺個人の気持ちで言えば、どこの馬の骨とも知れない奴が親父の跡を継ぐより、貴斗が親父になる方が安心する。同じ盃を交わした仲でも、親父とより強い絆を持ってる兄貴分、叔父貴の存在は、一等大きいからね。」


ここにいる組員は貴斗も俺も含め、全員親父と親子の盃を交わしている。単純な見方をすれば、貴斗と俺、その他組員は皆親父と親子の盃を交わした兄弟で、大きく立場に変わりはない。でも、元々親父の子である貴斗は、親子の盃をわざわざ交わさずとも親父と親子であることは変わらない。

若は盃を交わそうが交わすまいが”大事な親父の息子”であることに変わりはない。

それを踏まえると、貴斗と親父が交わした盃は、他の組員のそれとは一線を画しているのだ。交わさずとも息子だった若が、業界の認識の上でも親父の息子になるということは、親父とより強い繋がりを得たのと同じだから。

若は周りの、やらなくとも交わしたのと同等の繋がりがあるんだから、やらなくてもいいんじゃないかという意見を多少強引に却下し、親父と盃を交わした。そして、それはやはり正しかったのだ。

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