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レッツ クッキング!

初音視点です

買い物を終えた私たちは、さっそくキッチンに立ち、肉じゃがを作り始めた。


「まずは材料を切らないと。えぇっと、じゃがいもとにんじんは乱切り、玉ねぎは串切り。カレーと同じ切り方ってことだよね。」

「大きめでもいいんじゃないか?食べるの貴斗くんなんだし。」

「そうだね。ちょっと大きめに切ろう。」


下ごしらえが終わり、底の深い鍋で肉を炒めていく。焼けたらそのまま他の材料を入れ、さらに炒めていく。ここまではいままでやってきた料理経験からも簡単だ。

次は煮汁の材料を投入していく。材料がひたひたになるほどの量を入れ、灰汁を取りながら沸騰させていくと、落し蓋の出番だ。


「うーん、これでよかったかな?」

「いいんじゃないか?今のとこ順調だろ。これであとは何すんだっけ?」

「あとは……ひたすら煮詰めていくだけみたいですよ。宇咲さん、煮詰めるのに結構時間かかるみたいだから、おひたしの方も用意しとこう。」

「うん。お兄ちゃん、肉じゃがの方見ててね。時間になったらちゃんと呼んでね。」


おひたしはほうれん草を使っていく。洗ったほうれん草をしなしなになるまで茹でて、一口サイズに切っていく。あとはしょうゆと出汁で混ぜていくだけだ。こっちは思ったよりも簡単にできる。

おひたしを混ぜたところで、お兄ちゃんから呼ばれた。肉じゃがが時間になったようだ。


「えっと、次は蒸らすんだね。どうかな、なんか、私の知ってる肉じゃがよりちょっと色が薄い気がするんだけどな。」

「確かに。まぁ、レシピ通りだし問題ないだろ。」

「うん。大丈夫。きっとよくできてるよ。」


2人の言葉に安心しながらも、出来が気になってそわそわしてしまう。まだ貴斗さんが帰ってくるまで時間があるし、これが最初だから、焦らなくてもいいんだけど。

ついに蒸らしの時間も終わり、肉じゃがが完成した。私は落し蓋を恐る恐るあげ、中の様子を除き込んだ。


「うーん、やっぱりちょっと薄い?大丈夫かなぁ。」

「まぁ、何はともあれ完成だね。さっそく食べてみよう、宇咲さん。ほら、このお皿使って。」

「うん、ありがとう駿弥くん。」


お皿に盛り付け、2人の前に並べる。準備ができたところで、2人はさっそく箸を伸ばした。


「……どう、かな?」

「うぅん……初音の言う通り、ちょっと薄いかもな。まぁ、うまいよ。」

「うん。よくできてると思う。味は薄味だけど。」

「やっぱり……。他はどう?固かったりしない?」


思った通りの評価に肩を落としながら、私も箸を伸ばす。2人の言う通り、味が薄い。

いつも食べる肉じゃがと比べ、全然違う出来にため息しか出ない。とてもじゃないけど、これでは貴斗さんの前には出せない。


「でも、1回目にしたら上出来だろ。原因調べれば、すぐうまいの作れるって。お前の納得いく出来になるまでいくらでも付き合ってやるからさ。元気出せよ。」

「そうだよ、宇咲さん。俺も作り方調べてみる。貴斗のお母さんに聞いたっていいんだ。何回でもやってみよう。」


2人の言葉に、私も頷いた。まだ何回かやれるだけの時間はある。もっと美味しいのを貴斗さんに食べてもらうために、研究しないと。

お兄ちゃんと駿弥くんにも協力してもらい、連日肉じゃがとおひたしの練習に明け暮れた。お母さんや貴斗さんのお母さんにもアドバイスをもらい、なんとか納得できる出来に仕上がったのは、貴斗さんの帰ってくる前日のことだった。

次話から貴斗視点が始まります

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