してあげられることって
初音視点です
『初音、そっちは変わりない?』
「はい。今日も何もありませんでしたよ。貴斗さんの方は大丈夫ですか?」
貴斗さんたちが行ってしまってから3日。私は貴斗さんからかかってきた電話で、久しぶりに貴斗さんと会話をしていた。お互いに近況を話し合い、無事を喜んだ。
今のところ順調に進んでいて、予定通り4日後には一度戻ってこれるらしい。毎日やることも多くて、ご飯も簡単なものしか摂れなくて大変らしいけど、大きな怪我をした人もいないようで、私としてもとても安心した。
『こっちはずっと野郎に囲まれててウンザリしてくるよ。早く初音に会いたいな。』
「……私も、早く貴斗さんに会いたいです。絶対……絶対無事に戻ってきてくださいね。」
『もちろん。初音が待ってるんだもんね。必ず、初音の元に戻るって約束するよ。あとちょっとだから、俺も初音も、頑張ろうね。』
「……はい。頑張ります。」
『うん。じゃあ、そろそろおやすみ。いい夢を、初音。』
名残惜しくも貴斗さんとの通話を切り、私はベッドに横たわった。
貴斗さんは今のところ順調って言ってたけど、後ろの方がずっとザワザワしてたのは聞こえてた。今もきっと、色んな打ち合わせや会議で忙しいはずだ。そんな中で私に少しでもって電話をしてくれたのは嬉しいけど、その分私のことなんか気にしないで、しっかり休んでほしいとも思う。もちろん、私が心配するまでもなく、貴斗さんなら最良の行動を取ってるんだろうけど。
「貴斗さんが戻ってきたとき、私が何かできることはあるかな……。」
私は4日後のことを考えて、貴斗さんが喜んでくれそうなことを色々思い描いた。
いくら貴斗さんでも、1週間も頑張ってお仕事をしていたらきっと疲れてるはずだから、まずはゆっくり休ませてあげなくちゃ。それから、この1週間、私は何事もなく無事に過ごせてたって話して、安心させてあげたい。きっと私が本当に無事だったかって、貴斗さんはすごく気にしちゃうだろうから。
でも、私にしかできないことで、貴斗さんを喜ばせてあげたいとも思う。貴斗さんは私に何かしてほしいなんて滅多に言わないけど、こういうときこそ私にしかできない何かで喜んでもらえたら、きっとすごく嬉しいだろう。何ができるかな。
貴斗さんが帰ってきてからのことをあれこれ考えながら、私はウトウトと微睡み始めた。




