感動の再会
景介視点です
「おう、龍司。変わりねぇようだな。」
「久しいな、龍司。」
「……。」
親父と父さんが気負いなく話しかけてきたのを、龍司さんは呆然と見つめている。
この3人が再会するのは、高校生以来、24年ぶりだと聞いている。ある事件がきっかけで、龍司さんが2人の元を離れたのだ。兄貴と呼んで慕っていたのに、20年以上も会わずにいたのだから、よほど当時の龍司さんの意思は固かったのだろう。
「瑛兄……、景太郎さん……。」
「なんだ、龍司。泣きそうなツラしやがって。」
「だって……こんな……。……いや……。瑛兄、景太郎さん……舎弟龍司、今戻ったッス……。」
泣きそうに震える声でそう言い、龍司さんは深々と頭を下げた。
それを、親父も父さんも嬉しそうに目を細め、微笑んでみている。そして、わざとらしく呆れたようにため息をつき龍司さんに寄っていった。
「たく、遅ぇんだよ、お前は。おい貴斗。あれ持ってこい。」
「はいはい。飲むのはいいけど、話はさせてよね。」
3人の様子を見守っていた若が、親父の言葉に仕方ないと部屋を出ていく。俺は当然、若について部屋を出る。
俺たちは2人で連れだって酒類の保管庫へ向かう。親父と父さんによって、いつか旧友が来たときのためにと、コレクターも真っ青な年代物のワインやら有名酒造の日本酒やら大量にストックされている。旧友とは、言うまでもなく龍司さんのことだろう。長年倉庫の鑑賞品となっていたこれらが、やっと日の目を見ることになるのだ。
俺も若も、両手にいっぱいの酒瓶を抱え、応接間まで戻った。
「お待たせー……て、何りゅーちゃん。なんで泣いてんの。まったくもー。親父ぃ、りゅーちゃん泣かせたの?」
中へ入ると、手で顔を覆い涙を流す龍司さんと、困ったように笑う親父と父さんがいた。龍司さんが堪えきれなくなって泣いたってところだろう。
「親父さぁ、俺たち打ち合わせに招いたって忘れてない?同窓会じゃないんだからさぁ、話させてよね。」
「うっせぇなぁ。こいつが急にメソメソしだしたんだから、俺が泣かせたんじゃねぇよ。おい龍司、いい加減泣き止め。」
「……うす……。瑛兄……、ありがとな。」
目を赤くし、頬を涙で濡らした龍司さんが、少し恥ずかしそうに俯きながら目元を拭った。
親父と父さんが龍司さんを軽く慰め、仕切り直してから乾杯をした。そして、さっそく本題に入る。




