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俺があの子を遠ざけたい理由

景介視点です

「はぁぁ……。」


水輿さんの背中を見送り、俺は盛大なため息を漏らした。やっと解放された気分だ。


「お疲れ、景介。ほんとに苦手なんだね、舞菜ちゃんのこと。」

「……えぇ。これまで身近にああいったタイプがいなかったものですから、どうにもテンポが合わなくて。自分のペースが乱されるのが、少し……。」

「確かに、これまで景介の周囲に舞菜ちゃんみたいな子っていなかったね。俺は楽しい子だと思うけど。」

「……私は苦手です。」


水輿さんを見ていると、ハラハラするというか、気にかけないといけない気になるというか。簡単に裏世界の餌食になっていそうで、その無防備さにイライラしてしまう。ここまで俺のメンタルを揺らすなんて、ある意味才能があるんじゃないだろうか。


「景介は計画から外れるのとか苦手そうだもんねー。舞菜ちゃんは結構突拍子もないことしそうだし、その相手するのはすごく疲れるのかもね。」

「そう、ですね。いつもよりも体力使ってる気はいたします。」

「ははっ。まぁ、たまにはいいんじゃない?あーいういかにも”普通の女子高生”って感じの子と触れ合うのも。」

「……他人事だとお思いですよね?若。」


ケラケラと面白そうに笑ってる若を、つい眉を寄せてジットリ見つめた。本当に困ってるというのに。このままあの子が近づいてくるのを容認するというのだろうか。

水輿さんが俺の周囲をちょろちょろするというのなら、俺は裏世界の脅威から守らなければいけない。これ以上、若からの業務以外の仕事を増やすのも、庇護下にいれる人間を増やすのも、好ましくないのに。


「あはっ。だって他人事だしね。……じゃ、駿弥くん。明日朝9時にうちで。待ってるよ。」

「はい。朝、伺います。よろしくお願いします。」

「ん。ばいばーい。」


駿弥くんとも別れ、若、お嬢とともに再び歩き始める。俺は、若の隣で歩くも、どうにかして彼女を遠ざけることができないかと、つい頭の中で考えてしまう。

俺のことを好きだと言っていた彼女。当然、異性として、ということだろう。でも、万が一俺が彼女と特別な関係になったところで、俺の一番大切な存在は若以外になるはずもない。そのくせ、茶戸家幹部として、俺は多くの組、同業者に首を狙われている身だ。俺の隣にいるだけで、絶対に危険な目に遭わせてしまう。危険な目に遭わせるくせに、一番にもしてやれない男なんて、100%やめておいた方がいいに決まってる。まだ深く関わり合いになる前に、さっさと離しておかなければ、彼女がかわいそうだ。

頭の中に浮かぶいくつかの案を、俺は憂鬱な気持ちで精査していった。

次話から駿弥視点が始まります

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