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お邪魔虫なクラスメート

貴斗視点です

「櫛原?どーしたの。」

「あぁ、忘れモン……つか、違ぇよ!この子、あれだろ?文化祭の子!」


このクラスメートは、去年俺がした話をまだ覚えていたようだ。あの時は確か、牽制とアピールのために色々話したんだったな。

俺がそう思っていると、櫛原はじろじろと初音を見て、何やら感心したような声をあげている。


「へえ、ほんとにかわいい系なんだな。あ、俺櫛原。茶戸のクラスメート。ごめんなぁ、急に割り込んで。」

「本当だよ。せっかく初音と2人きりだったのに。空気読んでよねー。初音、櫛原は変な奴だけど、悪い奴じゃないから大丈夫だよ。」

「そ、そうなんですか。あ、宇咲初音です。よろしくお願いします、櫛原、先輩。」


少し戸惑いながらも挨拶を返した初音に、櫛原も嬉しそうに相好を崩している。にやにやして見るなよ、もったいない。


「今……勉強会?んだよ、色気ねぇなぁ。」

「学校で色気出してどーすんの。もうすぐ中間テストでしょ、それ用にね。」

「ふーん。うわー、懐かしっ。やったわー、覚えてねぇけど。なぁ、茶戸。これ、何の公式だっけ。」

「ちょっと受験生。運動エネルギーだよ。質量mkgの物体が秒速vmで動いてるとき、運動エネルギーkは1/2mv2乗。物理の基礎だよ?」

「俺は文系私立だから物理使わねぇんだよ。な、この子、あの時言ってた子だろ?よかったな、茶戸!」

「うるさいなぁ。もー、水差しに来たの?」


明らかにからかってきている櫛原をテキトーにいなし、早急に退場させにかかる。これ以上、初音との時間を邪魔されてたまるか。

しかし、あの時の話で興味を引きすぎたのか、櫛原はまったく引かず、初音に次々に話しかけていった。


「な、初音ちゃん。あ、初音ちゃんて呼んでいい?初音ちゃんって、昔茶戸に会ったことあるって本当?」

「はい。8年前のことですよね。助けてもらったんです。」

「へーぇ。でもさ、人殴ってたんだろ?怖くなかったの?」

「……助けてくれたって、すぐに分かりましたから。あの時の貴斗さん、すごく優しかったので。あ、もちろん、今だって優しいですけど。」


はぁぁぁあっ……天使かよかわいい。好き……。

頬を赤く染め、照れたように笑う初音を見て、俺は天を仰いだ。

顔が熱い。耳も熱い。首にも熱が集まってる。櫛原がなんかムカつく顔してる気配がする。ニヤニヤして見てんじゃないよ。……あぁ、でも。やっぱり俺の初音最高にかわいい。


「くくっ。あの最強の茶戸も、初音ちゃんにかかれば形無しだな。茶戸、首から上全部赤いぞ。」

「……うっさい。あー、もう!からかうんならさっさと出てって。俺たちまだ勉強会続けるんだけど。」

「うおっ。怒んなよ茶戸。分かったって。部活戻るし。茶戸、俺にもまた勉強教えてくれよ。初音ちゃん、またね。」

「またなんてないんだけどー?……はぁ。まったく、調子いい奴だなぁ。」


教室を出ていった櫛原に、大きなため息をつく。

何が初音ちゃんだ、馴れ馴れしい。初対面で羨まし……んんっ。軽々しい奴だ。


「さ、勉強、再開しようか。次は何の問題だっけ。」


さっさと櫛原を頭の隅に追いやり、初音に向き合う。

俺たちは邪魔者の消えた教室で、再び2人きりの勉強会を楽しんだ。

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