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駿弥視点です

「……あー……その……。なんで、薬なんて手出したんだ?」

「な、なんだよお前ら!邪魔すんじゃねぇ!」

「……刑法第124号第6章第24条の3”規定に違反して、大麻を使用した者は5年以下の懲役に処する”。お前らのやってることは、懲役刑のついた犯罪だ。」


何て言えばいいのか分からんな。俺は別に争うことになっても構わないからいいけど、あっち側は怪我とか、いいんだろうか。

探りながら話しかけていくが、相手はパニックになったように喚いている。こちらの話など、耳に入っていないようだ。禁断症状ではなさそうだが、イライラしているのは間違いない。


「お、お前邪魔なんだよ!クスリ……クスリを寄越せぇぇ!」

「……交渉決裂ってこと、だよな。」


俺に向かってきた1人を見て、すぐに頭を切り替える。そうなるとは思っていたけど、実力行使で黙らせる他ないらしい。

俺はこれまで先パイや組員さんたちに教えられてきたコツや基礎を思い出し、構えた。


「弱点や隙を見極めて、機を狙え……。そこか……。」

「うぐぅ……っ。」

「先輩!う、うわあぁぁ!」


先輩、同じ高校だと言っていたから、部活内でのつながりだろうか。体格もいい。体育会系かもしれない。

言葉端から、推察できることを頭に入れておく。完全に俺の主観での推察だから、先パイたちに言いはしないけど、考えておくのは無駄じゃないだろう。


「えーと……俺としてもあんま……っと。殴るとか慣れてないんだ。早く終わらないか?」

「し、知らねぇよ!なんなんだよお前ら!」

「ねー、まーだー?」

「待ってくださいよ先パイ!てか、早くないですか?」

「ははっ。こんな奴等、束でも余裕だって。まだ余力あるし、代わろーかー?」


ニヤニヤしながら言ってるのが分かる、ふざけた声だ。誰が代わるか。これは俺に任せられた仕事だ。


「不要……っです!これで……ラストっ。」


最後の1人の鳩尾に一発当てて、行動不能にする。俺は初仕事をとりあえず単独で完遂できたようだ。


「おっ疲れー。うんうん、けがもなさそうだし、いいね。景介、運ぼっか。呼んできて。」

「はい。お疲れさまでございました。こちらに着替えを。」


いつの間にか手足を縛られていた相手全員を端に集めていた会長からも労いの言葉をもらい、やっと少し肩の力が抜けた。

今回の初任務。悪くはなかったと思う。1人でこなせたし、少しだが、情報も聞いている。でもまだ反省点や改善点は多いだろう。

俺は先パイに総評を聞いた。


「先パイ、俺の方の評価はどうですか?」

「62点!及第点だけどねぇ、惜しいとこばっかだからねぇ。」

「……具体的に、どこが惜しいと?」


人生で初めて下された62点。その低さに内心ショックを受けつつ、先パイを見つめた。


「まずー、迷いがあったことね。戦場では迷った奴から死ぬって、あれまじだから。条件反射で動けるように訓練しようね。次に一撃で沈めなかったこと。素人の全力なんてそう大して威力もないし、加減はまだ覚えなくていいよ。それより、いかに自分が攻撃されないようにできるか。早く倒したらその分、攻撃回数も減るんだから、今はそこに集中しよう。」

「はい。」

「んで、最後。意識落としたと思っても、油断しちゃだめでしょ。ちゃんと縛って身動きできないようにするまでが1セット。そうしないと、背を向けたときにやられるよ。今はそんなとこかな。」

「……分かりました。」

「まぁ、ちゃんと1人で相手はできてたし、むやみに殴らずに会話をしようとしてたのは、学生相手なら大事だしね。初めてにしては、よくやったと思うよ。明日からは、次のステップだね。」


先パイからの評価に、少しだけ安堵して胸を撫で下ろす。

まだ合格範囲、許容される範囲だ。ここからいくらでも挽回できる。頭の中で、今日の自分の動きを振り返りながら、次の機会に思いを馳せた。

次話から貴斗視点が始まります。

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