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認めてもらうために

駿弥視点です

「今、先パイに初めて呆れを抱いています。その裏街を支配下にいれるっての、本当に誰も止めなかったんですか?」

「誰も。親父は基本放任主義だから口出ししてこないし、景介は……これだし。」

「私が若のなさることに反対するなんて、よほどのことでなければありえませんよ。当日は私も同行させていただきました。」


実質無法状態だったのか。こういう場面でストッパーがいないって、恐怖を感じることもあるんだな。

ニッコニコの会長を見て、俺は大きくため息を吐いた。

最初は常識人で優しい人だと思っていた会長も、本性はこれだ。なんて恐ろしいことだろう。


「……んじゃ、この中は先パイなら、何が起こってもどうとでもできるという理解で合ってますか?」

「まぁ、大雑把に言えばそうだね。中の奴等も、俺の顔は知ってるのが大半だし、手出しはしてこないよ。俺と一緒にいれば、俺の関係者だって分かるし、俺の関係者に手を出させるような躾はしてない。半年前に暴れたの、さすがに忘れてないだろうし。」

「……暴れた?いつ、なんで。」

「文化祭の2日目にね。被支配者のくせに、飼い主に反抗的な奴を見せしめにボコったんだー。」


見せしめってのが怖いな……。いったい、その相手は先パイに対して何をしたのか。無事では……済まなかっただろうな、かわいそうに……。

いつもと変わらない朗らかな笑顔の先パイに、思わず遠い目になった。


「先パイといると、安全で危険ですね。」

「あははー。それほどでもないよ。」

「褒めてません。」

「お2人とも、おしゃべりはそこまでにしてください。そろそろですよ。」


会長の諌めるような呼びかけに、俺は気を取り直してそちらを見た。

地下に向かう階段の奥は薄暗く、どんな様子なのかは見えない。ここで取引とやらが行われるらしい。


「行こっか。駿弥くんは真ん中にいて。敵が前から来ても後ろから来ても、そこなら俺らがフォローできるから。先頭は俺、殿は景介。後ろは任せたよ。1人も取り逃がさないでね。もし奴等が襲ってきても、俺が対応するから。駿弥くんは、学生にだけ集中しててね。」

「はい。」「承知しました。」


俺の安全を第一に考えられた配置に、少し悔しい気もしながら頷く。

今はまだ被保護者の域を出られていなくとも、いずれ俺は先パイの隣に立つだけの実力を身に付ける。今までと同じように、先パイたちに守られているだけの弱い存在であってはいけないのだから。俺は誰よりも高みに立つ。そうでなくてはいけないのだ。

先パイの先導で、俺たちは地下へ向かう。下へ行くと、ボソボソと何者かの話し声が聞こえてきた。今回のターゲットのものだろうか。

ドキドキと高鳴る胸を軽く押さえながら、少し内容を聞こうと耳をそばだてようとした時、それを無視して、先パイが押し入っていった。


「ちょっと……!」

「はいはーい。みんな忙しいとこ悪いね。ちょっとお話聞きたいなぁ。」


先パイの登場に学生らしい3人はキョトンとし、大人は驚愕している。

俺はこの急展開と温度感の差に、唖然とした。やはり先パイはバカなのかもしれない。


「ちょ、こんな急に……?」

「さ、茶戸貴斗!?あいつしくったのか!」

「あれでやられるほど間抜けじゃないよ、俺。あれがあんたらのバックに呼び出されたもんだってのも、ちゃーんと分かってるよ。はいはい、あんたらは俺が相手するよ。学生はこっちねー。」


学生を俺にパスして、先パイは大人6人に向き合った。

ここからは俺が学生3人を相手する。生唾を飲み込み、3人と相対した。

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