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私の周りにいる変な先輩と優しい会長、シスコンな兄

初音視点です

「うぅ……ほんと、すいません……。」


生徒会室で1人唸っていた私は、会議を終え戻ってきた会長に気を遣われながら帰宅の途についていた。まったく進んでいない書類の山に、赤くなったり青くなったりしながら謝り倒す私を、会長は笑って許してくれた。


「生徒会の仕事だからね。少しでも手伝ってくれて、感謝こそすれ、怒るなんてありえないよ。それより、ほんとに大丈夫?随分唸ってたけど。」

「……はい。その、ちょっと色々ありまして……。」


これはどう反応したものか。まさか先輩の友人である会長に、”先輩に告白されて狼狽えてました”なんて……。

あれ、私、先輩に告白されてたっけ。あれはそういう認識で合ってる?

先輩の意図不明なあの行動に今更ながら疑問を抱き考え込んでいると、会長はその様子から察したように静かに笑った。


「……なんかあったんだね。まぁ、俺に相談できることならいつでも言って。いつも手伝ってもらってるし、そのお礼として。だから、遠慮せずに、ね。」

「ありがとうございます、会長。でも、もう少し自分で考えてみますね。」

「そっか。相談したくなったらいつでもおいで。」


会長の穏やかな笑みに、私はだんだん平常心を取り戻してきた。帰り道を会長と2人で他愛ない話をしながら歩き、家に近づくころにはすっかり元通りだ。次の道を曲がればすぐ家が見えるといったところで、会長は立ち止まり、私の家とは別の方向を指差した。


「じゃあ初音ちゃん、俺はこっちだからここで。」

「あ、はい。会長、ありがとうございました。近くまで送ってもらっちゃって。」

「いやいや、気にしないで。この時間に女子高生が1人で歩いてるなんて危ないからね。それより、ほんとに明日もいいの?」

「もちろんです!今日のリベンジ、させてください。今日と同じ時間に生徒会室へ伺います。」

「分かった。じゃあお言葉に甘えて。また明日。バイバイ。」

「はい、さようなら会長。」


会長と別れ、家に入ると、早く帰ってきていたらしいお兄ちゃんがリビングから顔を出してきた。少し心配そうに眉を寄せている。


「初音、お帰り。外暗かったけど、大丈夫だったか?」

「ただいま。大丈夫だよ。まだ明るいし、会長に送ってもらったから。」


前々からシスコンの気があるのでは、と疑っているお兄ちゃんは、案の定まだ日も落ちきっていない内から心配している。私は呆れ顔で返した。


「会長……って、あのすげー頭いいって噂の?」

「うん。最近ね、生徒会のお仕事手伝ってるの。それで。」

「ふーん……まぁ、あんま遅くなるなよ。つか、遅くなるなら俺車出すし。」


やっぱりシスコン……。口うるさく心配してくるお兄ちゃんに、嬉しいような気恥ずかしいような気持ちで睨んだ。心配してくれるのはいいけど、私だってちゃんと自分の身くらい守れる。……はずだ。

自室に入り、私は少し現状を整理してみようと深呼吸した。今日は色々ありすぎた。……主に先輩のことだ。一体あれはなんだったのか。


「……まさかからかわれただけ?……うぅ、ありえる。先輩そーいう性格してそう。帰り際も普通だったし……。……そうだよね、からかわれただけ。……次会ったとき、変に意識しすぎないようにしないと。」


少し火照った顔に手を当て、肩を落とし自分に言い聞かせた。幸い、先輩と2人きりということは今まで少なかった。そもそもそんなに会ってなかったし、会長のいるときがほとんどだ。うん、大丈夫だろう。

私は、多少の違和感を感じながらも、自分の中で納得できる答えを見つけられ、1人ほっと息をついた。

次から景介視点になります。

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