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91話 プチイベント

「い、いいんですか?」


 そう言うのはベールだ。

 彼女は先ほど追い出したハルの事が気になったのだろう。

 しかし、シィは良いのいいのと言った風に手を振ると――。


「ほらお客さん待ってるよー」

「え、あ……!?」


 彼女の言葉に待たせているお客の事を思い出したのだろう。

 慌ててカウンターの方へと向くと――。


「って、そうじゃなくて!」


 やはり先ほどの少女が気になったベールではあったが……。


「やろう?」


 リルの一言に目を丸めつつうなづくのだった






 それからしばらくし、ようやくお客の数が減っていく。

 どうやら装備を整えた人達が狩りへと向かったようだ。


「いやーおつかれー」


 人がはけたところで作業を終えたシィはふらふらとした足取りで姿を現した。

 彼女は疲れた様子でウィンドウを操作するとカップを三つテーブルへと並べ……。


「えっとーこれだったっけなー?」


 そう言って新たに出したのは缶を一つだ。

 スプーンで中の粉をカップへと注ぐとお湯を注いでいき――。


「はい、できたよー」

「これって、ココア?」

「うん、良い匂い!」


 リルはアツアツのココアを冷ましつつカップへと口をつける。

 すると何とも言えないいい香りと甘い風味が口の中へと広がっていく。

 だが、しつこく残ることなく飲みやすい味だ。


「……美味しい」


 ほっとするような味に思わずそう言うとシィは目を細め笑みを浮かべる。


「でしょー?」

「これって、確か凄い高いココアの味、ですよね?」


 どうやらベールはこの味を知っているようだ。

 驚きつつ感へと目を向ける彼女だったが……。


「そう言えば、それも同じかも」

「へぇ現実で知ってるんだーいいなぁー」


 シィは羨ましいといった風にそう伝えるが、ニコニコと笑みを浮かべている。

 するとおもむろに缶をコンコンと叩き。


「ゲームの中でも手にいれるのには苦労するんだけど、美味しいからついついね」

「こんなにおいしいし買おうとしても高そうだね……」


 リルはそう言うと味わう様にココアへと口をつける。

 一気に飲んでもいい味なのだが、もったいなさすぎてついついゆっくりと飲んでしまうのだ。


「高いよー? だから今日頑張ってくれたお礼!」

「ありがとうございます」


 リルとベールは礼を告げると3人でゆったりとしたティータイムを送る。

 そして――。


「それで、ギルドには入るけど……これからどうするの?」

「まずはギルドホーム……ホームを手にいれようと思ってる」


 リルはそう伝えると彼女はうんうんと頷き……。


「それじゃぁ、いい稼ぎ場を見つけないとねー」

「うん……」


 ホームを買うための代金。

 それがいくらまで必要なのかは分からない。


「だけど今のレベルでどこが良いんだろう?」


 リルは腕を組み考えるが、やっぱり思い浮かばない。

 それもそうだろう。

 彼女はまだ初めて一週間も経っていないのだ。


「そんな君達に朗報!」

「……朗報?」


 シィの発言に首を傾げたのはベールだ。

 彼女はココアへと口をつけながら、じっと彼女を見つめる。

 一体どんな朗報があるのだろうか?


「ふふふー今度のイベントが攻防戦って知ってる?」

「そうなの? でも……」


 今の段階で攻防戦というのはキツイなぁ……とリルは考えたのだが……。


「でもね、その前に実はプチイベントが来るんだよねー詳しい事は恐らくクロが知ってると思うよー?」

「……プチイベント」


 次のイベントが攻防戦。

 その前に来るプチイベントと聞き、リルは目を丸める。

 恐らくは新規参入者に向けた。


「強化クエスト……だとしたら、高額アイテムがドロップしたり手に入ったりするって事?」

「せいかーい」


 リルの言葉にそう返すシィはにへらと笑うのだった。

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