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89話 プレイヤーホーム

「い、いいの!?」


 リルは驚きつつ、彼女へと詰め寄る。

 すると彼女は笑ったまま……。


「いいよいいよーお得だねー今プレイヤーホーム持ってる生産職なんて、私ぐらいなもんだよー」

「プレイヤーホーム……そんなのもあるんですね」


 うんうん、と頷いた彼女に感心するリル。

 しかし、彼女は笑みを浮かべたまま。


「まぁ、嘘だけど――」

「嘘なの?」


 驚きつつあきれた表情を浮かべたリル。

 すると彼女は――。


「このゲームが始まってもう半年だよ、流石にいっぱいいるよー」

「そ、そうですよね」


 リルは引きつった笑みを浮かべてそう言うと――。


「まぁ、嘘だけど」

「嘘なんですね……」


 そう言うと思ったとリルはあははと乾いた笑いを浮かべる。

 するとシィは――。


「まぁ、多くはないよ……これは本当」

「そ、それはともかく、本当に使って良いんですか?」

「うん、勿論プライベートルーム……私の部屋には入れないようになってるけどね」


 流石にそこに入るには本人の許可が必要だろうとは考えてはいた。

 だが、それ以外は使えるとなれば助かったとしか言いようがない。

 現状内緒話が出来ない状況だ。

 PTチャットをすれば可能ではあるが、出来れば色々な資料を共有したい。

 そうなればギルドホームやプレイヤーホームのようなカギがかかるような場所が欲しかったのだ。


「ありがとうございます!」


 リルが頭を下げるとシィは「そんなのいいよー」と笑い。


「それじゃ……私は装備を作ってくるから」

「あ……はい」


 必要な事を伝えたという事だろうか?

 彼女はそそくさと鍛冶場へと向かってしまう。


「あ、お客さん来たらよろしくねー」

「は、はい……って私達が店番ですか!?」

「ちょ、ちょっと待ってください!」


 リルたちは思わず突っ込んだのだが……。

 しかし、彼女は二ヘラと笑みを浮かべたがひらひらと手を振ると――。


「ギブアンドテイクってやつだねー」

「し、しっかりしてる……」


 しっかりとねーと言って去っていく彼女を見送ったリルたちは――。


「どうする?」

「どうするって言われても……何も言わずに去るわけにはいかないよ」


 困ったように笑いながら言われた通り店番をすることにする。

 店番をしてほしい。

 つまり、店番自体は別のプレイヤーでも問題はないだろうという事は分かった。

 だが、同時に店には誰かいないと買い物ができないという事だろう。

 そして、それを求めるぐらいには彼女は売れている鍛冶師という事だ。


「だ、だいじょうぶかな?」

「うーん、あ! ここにメモが置いてあるよ」


 カウンターの中へと入るとそこには商品の売買の方法が書かれていた。

 プレイヤーは商品を購入するにはカウンターへと訪れ、ノックを卓上で二回する。

 するとメニューが現れ、装備の閲覧、試着が可能となる。

 購入時にはウィンドウの購入を選択、販売側のプレイヤーはレジを二回ノック。

 そうすることで初めて取引が行われるというものだった。


「面倒だね……」

「と言ってもね、恐らく持ち出しとか盗めないようにしてるんだと思う」


 リルがそう言った理由には最後に書かれていた一文があった。

 販売側はレジの所有者、またはその所有者によって登録されたプレイヤー、NPCのみとなっていた。


「な、なるほど……」

「金額を間違えることはなさそうだから、バイトだと思ってやろうか」

「う、うん!」


 緊張する様子のベールに微笑んだリルは大丈夫だよと口にし――。

 椅子へと座りお客を待つことにしたのだった。

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