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83話 新スキル

 暫く狩りを続けるとリルとベールのレベルも上がり……。


「それでどんなスキルを取ったの?」


 カナリアはリルたちにそう尋ねてきた。

 それに対しベールは笑みを浮かべ――。


「ドライアドっていうのです! 茨で敵を拘束するって書いてあったよ」

「あら、意外と面白いスキルを取ったのね」

「足止め系かぁ……ベールにはあまり合わないかもだけど……まぁ、良いか」


 ベールは最初のVRMMOなのだ。

 自由にビルドを組んだ方が楽しいだろうと考えたリルはそうつぶやき――。


「でも、あまりにも方向性変える場合は相談してね」

「うん!」


 笑みを浮かべ頷く彼女に笑みを向けたリル。

 そんな彼女の肩へと手を置き――。


「それで、リルは何を?」

「私は……トラップアローって言うスキルだね、後罠をフレイムトラップとか」

「罠か……それにスキル名からして罠と関係あるのかい?」

「だろうね」


 クロネコとトートはそう口にし……。

 リルは胸を張り首をしっかりと縦に振る。

 彼女たちの言う通りなのだ。


「罠と矢を消費して罠矢を作成するみたい」


 リルがこのスキルを選んだ理由。

 それは新しい戦い方もできると確信したからだ。

 そもそも、彼女はこのゲームでも珍しい弓使いとしての実力を持っている。


「普通のプレイヤーなら選ばないスキルだろうね」


 トートは遠い目をしながらそう口にした。

 彼も元はアーチャーだったのだ。

 弓の難しさは十分に理解していた。

 だからこそリルの強みもしっかりと確認できていたのだ。


「弓を使えるのは確かに強みね……そこを強化できるのは現状リルぐらいかしら」

「リアルでもアーチェリーやった事あるからね」


 リルはそう言うと少し誇らしげにしているが、実際には一回やった程度の実力だ。


「アーチェリー部だったっけ?」

「あ、いや……たまたま家族と行っただけ」


 一回……そう呟くと一同は目を丸めたが、すぐに笑い始める。

 そんな中、リルは少し恥ずかしそうにしていたが、すぐに笑みを浮かべた。


「一回って……初心者でしょ」


 クロネコが涙を拭きながらそう口にし、リルは「でも!」と切り出すと――。


「弟は当たらなかったし、私は50メートル先の的を真ん中狙えたんだよ!」

「それ、まぐれじゃないの?」

「確かに真ん中当たったのは3本中1本だったけどちゃんと的自体には3本とも当たったよ!」

「凄いね……あれってそんな簡単にできないでしょ?」


 ベールは関心をしカナリアはほほ笑みつつももう一度まぐれだと口にする。

 だが、現実でまぐれ当たりだとしても関係がないのだ。


「まぁ、こっちでは本当に実力者だし、それはそれで凄いわよ」

「なんか腑に落ちない……」


 リルは納得いかないという風だったが、それ以上何かを言えるわけでもなく、ため息をつく……。


「っと、そろそろ戻ろうか」


 新たに沸いた砂漠狼を見てリルはそう切り出し、一同は町へと向け足を動かすのだった。





 町へとたどり着いたリルたち。

 すると一人、街の入り口で立ち止まった者がいた。

 彼女に気がついたリルは――。


「……カナさん」

「ぜ、絶対いやよ!」


 首をぶんぶんと振り拒否をする彼女に困ったような笑みを浮かべるリル。

 来る時は無理やり連れてきてしまったのだ。

 だからこそ、強くは言えず。


「どうするの?」


 ベールのそんな質問にリルはうーんとうなる。

 早く帰るにはこの飛空艇に乗るしかないのだ。

 だからこそ困ってしまったのだが……。


「死に戻りは?」

「「……あ」」


 クロネコの発言にようやく気がついたリルとカナリアは目を丸める。

 そう、死に戻りであれば飛空艇に乗らずとも首都に戻る事が出来るのだ。


「……後でね」


 カナリアはそう言うと振り返りマップの方へと向かっていく。

 その背中を見送りながら……。


「も、もどろうか……」


 リルは戻る方法を見つけたことにほっとしつつ他の3人にそう伝えるのだった。

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