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82話 強制加入再び

「強制加入?」


 トートは驚きつつもリルの方へと目を向ける。


「強制加入って人聞きが悪いなぁ……」

「ま、まぁ……行くとこなかったし別に行けどさ……」


 そう顔を赤らめそう言うクロネコの方へと目を向けたリルはまんざらでもなさそうな様子にほっとする。

 半場無理やり加入させたのは理解していた。

 だからこそ不安だったのだ。


「でも確かにトートさんはギルドに入ってほしいかも」


 リルはそう言うとじっとトートを見つめる。

 すると彼は戸惑うが……。


「やっぱりだめ?」


 リルは彼の近くによるとそうつぶやいた。

 彼女自身気がついていない事だったが上目遣いになっているのだ。

 リルはアバターとリアルの見た目がほぼ一緒だ。

 だが、彼女自身、告白されたことはあっても無自覚だったのだ。


「……あ、あ……ぅ」


 ドギマギとした彼に首を傾げるリル。


「ど、どうしたんですか?」


 そんな彼の様子が気になったのだろうベールまで近づいてきた。

 二人の美少女に見つめられた彼は顔を赤く染め上げて行き……。


「ま、まぁ……君たちが良いなら、俺はその……入りたいギルドとかないから大丈夫だよ」


 上擦った声で彼はそう言うと――。


「……うわぁ」


 クロネコはややひきつった顔を浮かべた。


「な、なんだよ」

「いやぁ……なんでもない」


 知り合いが美少女二人に懐柔された。

 それを見るのは流石に何か思う所があったのだろう。


「お、男は弱いんだ」


 彼はそう言うと顔を赤らめたまま、明後日の方へと目を向ける。


「あらあら……」


 一部始終を見ていたカナリアは彼へと近づくと――。


「二人に何かしたら通報ものよ?」

「…………そ、そんな事」


 彼はぶんぶんと首を横に振るとカナリアは笑みを浮かべ――。


「冗談よ」


 と口にする。


「いや、冗談に聞こえなかったんだけど」


 クロネコはひきつったままそう口にし――トートの方へと目を向け……。


「気を付けなよ」

「怖いこと言わないでほしいんだけどな」


 と二人で顔を引きつらせる。

 それに対しカナリアは変わらず笑顔のままだ。


「えっと……」


 リルはそんな中ウィンドウを操作し、トートをギルドへと誘い。

 加入したのを確認すると辺りを見回し――。


「もう、危ない魔物はいないみたいだし、安心できるね」


 そう言いつつ弓を構えると砂漠狼を撃ち抜く。


「あら、それなら安全ね」


 カナリアはリルの意図に気がつき笑みを浮かべる。

 そう、リルは一匹ずつそうやって釣ろうと考えたのだ。

 それからリルたちは順調に狩りを進めていたのだが、ふと気になったことがあった。

 砂漠の王のドロップだ。


「そう言えば……何も拾ってないね」


 リルがそう口にするとカナリアはクスリと笑い。


「そんなしょっちゅう出るわけじゃないわよ」

「いや、それでも変……通常ドロップが一つも落ちないなんてことはないし、このゲームは各自にドロップ判定があるし……」


 クロネコはそう呟くと考え込む。

 それに対しトートも確かにと口に資、首を傾げるが……。


「アイテム貰えない事って変なの?」


 一人ベールは別の意味で首を傾げていた。

 それを見てリルはますます「うーん」と首を傾げる。

 リルたちが拾えないのはまだともかく、彼女が拾えないのは何がかおかしいと思ってしまったのだ。


「でも確かに言われてみると通常ドロップもないわね」

「おかしいよね?」


 何かあるのではないか?

 そう思ってももうすでに砂漠の王の姿はない。

 首を傾げつつも仕方がないと狩りを続けるリルたちだったが……。

 その後も特に変化もなく、リルはうんうんと唸り。


「おかしいなぁ」


 と呟くのだった。

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