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77話 砂漠の町

 カナリアの様子を見つつ、飛行艇の景色を楽しむリル。

 しかし、心の底から楽しむことはできなかった。

 それもそうだろう。

 カナリアは昔からの友人だ。

 だからこそ、心配だったのだ。


 やっぱり無理やり乗せたのは間違いかな……。


 そう思ってしまった。

 しかし、他に方法もないのだ。

 歩いて行くには時間がかかってしまう。

 そうなればレベリングを手伝う時間が無くなってしまう。


「つ、ついたよ?」


 ようやく着陸しそうな気配を感じリルはそう伝えると……。

 カナリアはゆっくりと顔を上げる。

 その顔は青くなっている。


「帰りの事は黙ってた方がいいよね?」


 そう言うのはベールだ。

 ゲーム初心者と言ってもいい彼女でも気がついたこと……。

 それは来たからには帰りも飛空艇だという事だ。

 だが、確かにそれは黙っていたほうが良い。

 リルはそう思い、強く頷く。

 

「そうだね、絶対に黙ってよう」


 リルが同意して所で飛空艇は着陸し、リルたちは船から降りる。

 そして、辺りを見回すと……。


「ここがオワシスの町でイシスだね」

「へぇ……かなり違うんだね」


 リルは物珍しさに目移りしてしまう。

 だが、それも仕方がない。

 この町は前作を経験しているリルでも見たことがない物が多いのだ。

 いや、寧ろこの二日間、じっくりと街を見ていなかった。

 それに加え、今までやってきたVRゲームはすぐに辞めていたことも多いため砂漠の町を見たことがなかった。


「少し暑い……」

「少し? 私は汗かきそうだなぁ……」


 リルとベールはそれぞれそんな事を言いながらも笑いあう。


「そう言えばここってあのアイテム売ってるの?」


 リルはカナリアへと尋ねる。

 すると彼女は疲れ切った表情で何かを考えるが……。

 合点が行ったのだろう。


「クスクスとかタジンかしら? ええ、あるわよ」

「本当!? どんな味なんだろうね」


 それは前作にもあった料理だ。

 食べたことがない料理にどんな味がするのか? とずっと疑問でもあった。

 だからこそ気にはなったのだが……。


「でも、まずはトートさんのレベル上げだね」

「え? 別に食事の後でもいいよ」


 彼は遠慮するかのように笑うが、元々ここに来た理由は彼のレベリングだ。

 リルはゆっくりと首を横に振ると――。


「後でゆっくり食べるから! あーその前に……カナさんは平気?」


 カナリアへと目を向けると彼女は力なく微笑む。

 平気ではなさそうだが、どうやらもう行く気ではあるようだ。

 それに気がついたリルはクロネコへと目を向ける。


「クロネコ、砂漠狼がいる方はどっち?」

「こっちだよ、はぐれないようにね」


 クロネコはそう言うとリルたちの前を歩き道案内をしてくれるのだった。

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