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70話 反撃の一手

 ギルド認定試験は受けるPTがいる場合PTリーダーの名前で街中にアナウンスされる。

 観戦したいと思う者は任意でワープできるようになっているのだ。

 だからこそ、リルたちのPTは注目株だということもあり、それなりの人数が集まっていた。


「ありゃダメだな」


 そんな声が観客席でつぶやかれる。

 しかし、リルたちにはその声は聞こえない。

 だが、そう言われるのは仕方がないのだ。

 誰が見てもスキルは止まり、リルはトドメを刺される。

 それが分かる状況だったのだ。


「こ、のぉぉぉぉお!!」


 リルの咆哮が聞こえてきた観客席では諦めない少女を見て声は上がるが……。

 誰もがもうだめだと考えた。

 そんな時だ――。


 甲高い金属音が聞こえたのだ。

 たった一撃……ギリギリ止まりかけたそのスキルは奇跡的に続き。


「おおおおおお!?」


 観客たちは声を上げる。





 リルはギリギリ続いたスキル。

 だが、それだけではなかった。

 リルが狙ったのは騎士の持つ刀だ。

 ほぼ咄嗟だったのだ。

 このままスキルが続いたとしても勝てない! そう気がついた彼女はイチかバチかでスキルを使いつつ刀を弾き落とせないかと考えた。

 すると、ナイフは刀の腹の部分に……そう、真横に当たったのだ。


「――や、った!」


 リルはそれに追って起きた現象に声を弾ませる。

 そう……彼女は知らなかったことだが、刀は横からの攻撃に弱いのだ。

 そのため武器破壊判定が行われ、見事に騎士の武器を壊すことができたのだ。


「ナイスよリル!」


 カナリアの声が聞こえ、リルは少し口角を上げる。

 勝機がわずかだが見えた。

 騎士は刀が折られたことにより剣を取り出している。

 しかし、明らかに大きな隙だ。


「ベール、大火球をお願い! クロネコ――兵士が動き始めた、かく乱をして!」


 瞬時に辺りを見回し、仲間たちに支持をしたリルは最後にカナリアへと目を向ける。

 すると――。


「ネコちゃんのサポートは任せて!」


 微笑む彼女を見てリルは微笑み返す。


「オーケーじゃぁ私は!!」


 リルはそう言うとHPポーションを飲み干し、口元を拭い……。


「あの騎士を倒す!」


 そう呟き、再び罠を設置する。

 だが、今度は自分が飛ぶためではない。

 迫る騎士は氷のトラップへと引っ掛かり、足を奪われた。 

 その間にリルは武器を弓へと変え――矢を数本持つとそれを斜め上へと放つ。

 そんな使い方では攻撃力など皆無だ。

 だが、攻撃を行ったという事実が大事だった。

 対象に選ばれている騎士は慌てたように矢を避けるそぶりを見せたのだ。

 そして、それは新たな隙となり。


「ファイアボール!!」


 ベールの魔法の餌食になる。

 広範囲に及ぶ魔法には流石に反応することはできないのだろう。

 HPが勢いよく削れて行く……。

 しかし、騎士は魔法を受けても怯むことなく……今度はベールへと狙いを定める。

 それもそうだろうダメージ量から言って彼女へとヘイトが向かないわけがないのだ。

 リルはそれを理解していた。

 だからこそ、再びフェンリルをしっかりと握る。

 今度は視界が揺れてはいない。

 どうやら出血のバッドステータスは回復したようだ。


「ビューレイスト!!」


 そして、彼女はスキルの名をもう一度口にし、騎士へと向け放つ。

 だが、一発目は避けられてしまった。

 しかし、リルはそれに構わずスキルに任せ攻撃を行っていく……。

 昔のゲームであればリルなんて無視をしてベールへと突っ込んでいっただろうが、これはVRの最新のゲームだ。

 NPCはある程度AIの思考により自身で考え攻撃を行ってくるのだ。

 そのため一瞬……ではあったが迫るリルへとターゲットを変える隙を見せた騎士は2撃目を避けることはできず、リルのスキルの餌食になるのだった。

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