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67話 卑怯な騎士

 リルたちは去って行ったNPCの後を追う。

 準備をすでに澄ましているから、そのままクエストを進行しても構わないと思ったのだ。


「それで……作戦は?」


 クロネコは恐る恐ると言った感じで訪ねてきた。

 しかし、作戦と言っても特に考えていなかったリルは首を傾げる。


「いや……特に」


 ないよ? そう言いたげな彼女に対しクロネコは大きくため息をつく。

 それもそうだろう。

 現状このクエストはそれなりの難易度なのだ。

 トップクエストとは言えないが今のリルたちはまだレベルが低いのだ。

 だが――。


「まぁ、パリィあるし……火力ならベールがいるから」

「か、軽い……」

「まぁ、そんな感じだと思うわよ? ……実際対人戦ならリルが輝く時だからね」


 そうでもないよ。

 思わず照れてそう言いそうになったが、クロネコには嫌味になるかもしれない。

 そう思ったリルは口を閉ざし、困ったように笑う。


「えと……ドラゴン呼べばいいの?」

「うーん……クエストって他の人見れるのかな」


 リルの言葉に頷いたのはカナリアとクロネコだ。


「見られたらいけないの?」


 ベールは首を傾げ訪ねてきた。

 リルは頷き――彼女へと伝える。

 何故見られたらいけないのか……。

 それは、簡単な理由だ。

 現状新職であるリルとそれに伴うクエストで手に入る武具を持つベールは未知数なのだ。

 もし、これから攻防戦などがあるのであれば知らないスキルというのは切り札になる。

 勿論初見の時だけではあるが……。


「なるべくベールの情報は隠しておきたいかな」

「そうね……あの巨大火球だけで警戒されそうだし……ドラゴンは隠しておいた方がいいかもしれないわ」


 リルの言葉に肯定するのは勿論カナリアだ。

 彼女は腕を組むとベールの方へと目を向ける。

 そして――。


「しばらくは杖の召喚魔法は控えてね?」

「蛇も?」


 蛇というのはリルも見たことのない魔法ではあった。

 しかし、ベールはなぜか蛇に少しこだわりがあるようだ。

 少し寂しそうな表情を浮かべており……。


「勿論絶対って訳じゃないよ? なるべく隠しておきたいってだけだし、もし、どうしても使わないと無理! ってなったら使っても大丈夫」


 絶対に使うな! というのはプレイスタイルに関することだ。

 それを言う気にはなれなかったリルはベールへその事を伝えた後、笑みを浮かべた。

 するとベールも笑みを浮かべ――。


「うん!」


 ほっとしたような表情で頷く彼女を見てリルは笑みを浮かべる。

 そして、ようやくたどり着いた場所は……どうやら闘技場のようだ。

 目の前にいるのはあの騎士と他にも数名の兵士。

 そして、魔法使いたちもいる。


「……ぇえ」


 リルはその多さに思わず嫌な声を出した。

 それもそうだろう。

 どう考えても多いのだ。


「聞け! あの者達を倒したものに王からの褒美がある!!」


 そして、騎士は兵士たちへとそう声を張り、焚き付け――。

 剣を掲げると雄たけびが聞こえ始めた。


「来るわよ!!」


 カナリアの声と共に騎士リィドはリルたちへとその切っ先を向け叫ぶ。


「かかれ!!」


 その声に兵士たちは駆け始め、魔法使いは詠唱を始める。

 戦いは始まりを告げたのだ。


「あの多さは聞いてない!」


 リルは理不尽にそう声を上げるが、それ以上何を言っても無駄だと感じ――。


「ベール!! 大火球をお願い!! クロネコは攻撃は当たらないから思いっきりやって大丈夫だよ!」


 そう伝えるとフェンリルを構え、大地を蹴り……。

 一人の兵士を切り裂くのだった。

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