表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/115

59話 出会いとおすすめ

 リルは安心したところで掲示板へと向かう。

 探す情報は勿論ギルドについてだ。

 それに関してはクロネコが知ってはいるだろうが、自分で探すのもまた楽しい物だ。

 そう思いつつ、掲示板をじっと見つめると――。


「なぁ、君」


 話しかけられ、リルはそちらへと目を向ける。

 細目の青年のようなアバターだ。


「あのさ、ちょっと聞きたい事あるんだ」

「何ですか?」


 リルは尋ねると彼は――。

 

「アサルトって職業だよね? それどんな感じかな?」

「え? ああ……うーん、何とも言えないですね」


 たった数日。

 自分には合っているが他の人が使いこなせるとは言えなかった。

 勿論楽しいかそうでないかで聞かれれば、もう少し答えようはあったが……。


「そうか……やっぱり罠とか難しい感じ?」

「というより、スキルが少なくて使い手を選ぶって感じです……多分クエストとか条件を満たせば出てくると思いますけど」


 リルの言葉にため息をついた彼をじっと見てみるとどうやら弓使いのようだ。

 だから気になったのだろうと察したリル。

 その視線に気がついたのだろう、彼はまいったなぁといった風に頭をかき……。


「見ての通りアーチャーでね、罠に有用なものがあれば戦いやすいなーって思ってたんだ……INT無いし魔法とかはね……とにかく情報ありがとう!」


 彼はそう言うと何やらインベントリから取り出し――。


「これ、お礼の代わり下手にお金を渡すより価値があると思うんだ」


 手渡されたのは何かの鍵だ。

 一体なんだろうか? リルは首を傾げるのだが……。


「AGIとDEXが高いアサルト限定みたいなんだよね、それ以外は分かってないんだ……僕のステじゃ使えないから、ね」

「良いんですか?」


 説明を見てみると確かにその通りに書かれていた。

 とはいえ、これを売ればそれなりのお金にはなる。

 そんな物を貰って良いのだろうか?

 リルは気になり尋ねると――。


「ああ、構わないよ。興味本位でアーチャー選んでみたけど、キャラ作り直すからアイテムでーても消えてしまうからね……それじゃあね」


 彼はそう言うと去ろうとした。

 しかしふと立ち止まり……。


「そうだ、君この前パリィしてた人だよね」

「……あ、はい!」


 そう言うと彼はにっこりと微笑み。


「打倒世界樹、応援してるよ……実は知り合いにテスターが居てね、有用なスキル一つ教わったんだ! ギルドを作ったら二刀使いになると良い、ナイフの二刀流が出来るはずさ、そうなれば片手でパリィとか出来るんじゃないかな?」

「……あ」


 そう言われ、リルはハッとする。

 確かに以前のVRでは両手を使って戦っていた。

 もしそれが出来るのなら戦力の大幅アップと言ってもいい。

 だが……。


「良いのかな? 私だけ……なんかチートみたいで……」


 気が引ける。

 そう思ってしまった彼女に対し……。


「大丈夫だって、さっきも言ったけど知り合いにもテスターはいる……君以外にもいるんだから……色んな所にね……」


 そうつぶやく彼は何処か苛立っているようにも見えたが、すぐに笑みを浮かべ今度こそ去っていく……。

 彼を見送りつつリルは――。


「そっか……そうだよね」


 今まで出会ったことがなかったから自分だけだと勘違いしていた。

 しかし、企業がそれをするわけがないだろう。

 少なくともテスターなのだ。

 それなりの人数はいるはずだとリルは考え――そして、彼の言葉に引っ掛かりを覚えた。

 色んな所に居る。

 果たしてそれはどんな意味なのだろうか?

 そう思いつつまだ見ぬその人達の事を考える。

 少なくとも彼は知っているという事だ……。


「……それにあの言い方、他のテスターが良い人だけって感じはしない、よね」


 情報を収集したいところではあったが、今はギルドの方だと気を取り直すと再び掲示板へと目を向けるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ