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57話 帰り道

 無事ベールの武器の強化が終わったリルたちはその足で来た道を戻っていく。

 その道中には当然魔物がおり……。

 アンデッドやゴーストが多くともリルの前にはあまり関係ない。

 だが、ベールは違った。


「ぅぅ……早く戻りたい……」


 げっそりとした表情を浮かべたベールにリルたちは顔を向ける。

 相当きつそうだ。

 こういったエリアは多くはないがなくはない。

 今後も一緒に行動するなら、対策を考えなくてはと考えるものの……。


「これは対策は難しいわね……」

「だ、だね……」


 リルも虫系の魔物は苦手だ。

 当然拒絶反応もあり、近づきたくもないと思ってしまう。

 ましてや体液が飛び散るタイプなんていた時にはまず悲鳴を上げるだろう事は間違いない。


「そうだ! ワープホールは?」


 リルはカナリアに尋ねる。

 しかし、彼女は首を横に振ったのだ。

 ワープホールと言えばプリーストが使える転移魔法だ。

 あらかじめ設定しておいた場所へと転移できるという優れた魔法で過去作ではそれで稼ぐなんてこともできたほどだった。

 だというのに今作は無いのだろうか?

 リルが疑問に思っていると――。


「あれさ、廃止になったみたいなんだよね……BOTって流行ったでしょ?」

「懐かしいね、僕BOTじゃないよとか、私はBOTです通報お願いしますとかあったよね」


 リルがそう言うとクロネコは少し困った表情を浮かべる。


「いや、詳しくは知らないけど、まぁツールを使ってなかった人たちからの苦情が多かったらしいよ」

「……そう言えば昔シャロちゃんがMPKと一緒にやられてたわね」

「……あーレア狙って2か月籠ってた時だっけ?」


 なつかしい仲間を思い出しリルはその当時の言葉を思い出す。

 シャロという仲間はVIT特化型でMPKモンスタープレイヤーキラーに関しては経験値美味しいですとしか言わなかった。

 事実VITを上げればHPも上がり更には防御力を上げるスキルを持っていた彼女にとっては良い餌となるだけだ。

 しかし、それを使うと移動速度が落ちるのだ。

 そのため……。


「ホール開かれて町に戻されたって怒ってたね……」

「と言うか臨機応変にスキル使った時点でBOTじゃないってわかるはずだけどね……」

「まぁとにかくそんなこんなでワープは廃止……今はギルドに所属してればホームへと戻ることはできるみたいだけど普通は無理だね」


 クロネコの説明にがっくりとリルは肩を落とす。

 何故なら隣ではベールが震えて居るからだ。

 彼女なりの気づかいなのだろう、左手にしがみついているため右手は自由だったから問題はなかった。

 だが……。


「じゃぁ、とにかく早くここ抜けないとね……」


 リルはそう言うと魔物の気配を探りつつ歩みを進める。

 出来るだけ魔物に会わないためだ。

 だが、そう言っても無理はある。

 出てくる魔物を倒しつつ進みようやく外へと出たリルたちはほっと息をつき……。


「うーん……そのワープってダンジョンでも使えるの?」

「テレポート不可能エリアじゃなければ平気だよ」


 テレポートも同じ転移魔法ではあるが見える範囲内でのランダム移動だ。

 囲まれた時などに使える回避魔法ではあったのだが……。


「……そっか、じゃぁ、次の目的はギルド、だね」

「ちょ、ちょっとまって……!! この人数でギルド承認クエスト受けるつもりかい!?」


 クロネコの焦った声にリルは首を傾げる。

 確かに難しいとは聞いていた。

 しかし、そこまで焦るほどなのだろうか?

 気になってカナリアへと目を向けると――。


「多分、大丈夫じゃないかしら?」

「……はぁ!?」


 素っ頓狂な声を出しクロネコは両こぶしを腰の横に突き出す様にしている。

 小さな見た目も相まって非常に可愛らしいが……本人はそれに気がついていないだろう。


「装備も十分だし、なにより相手は人型だしね?」

「あ……」


 そう、人型であればリルの得意なパリィがしやすいのだ。だからこそカナリアは以前こういった。

 二人がちゃんと育てば……と……。


「でも、今日はもう疲れました」


 しかし、相当疲れた様子のベールはぐったりとしており、その表情に陰りが見える。

 勿論リルだって先ほどから眠気を訴えており……。


「今日は……やめとこうか」

「そうね」


 その日の攻略は諦め次回に回すのだった。

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