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49話 ゾンビ

 カナリアの案内の元、その扉へと向かうリルたち。

 そんな彼女たちの前にモンスターが姿を現す。

 どうやらゾンビのようだ。


「……ひっ!?」


 ドロドロに溶け衣服にしみこんでいる皮膚、そして飛び出しそうな瞳……。

 初めて見るそれに対し、ベールは杖へとしがみつくようにして小さな悲鳴を上げた。

 リルに縋りつかなかったのは奇跡と言ってもいいのかもしれない。


「行くよ!」


 リルはそう言うとかけ始めフェンリルをふるう。

 場所は変わり、モンスターもゴブリンよりも強力になった。

 しかし、リルの前には無力だったのだろう。

 あっけなく切り裂く事が出来た。

 バッドステータスもない……これなら戦えると思った矢先の事だ。


「リル! まだ生きてるわよ!」

「へ? え!?」


 HPを0にして倒したはずだ。

 そう思ったのだが、確かにゾンビは消えていない。

 それどころか立ち上がろうとしているのだ。


「なななななななな!?」


 ベールもしっかりと倒せたはずだと考えていた。

 だからこそ、パニックになり――。


「それ、神聖属性じゃないとたおせないのよ……」

「それ、早く言ってほしいんだけど」


 斬られた恨みを晴らすように襲い掛かってくるゾンビの攻撃をかわしつつリルはため息をつく。

 しかし、リルも大まかな予測だけで突っ込んでいったのだ。

 前作のゲームでも特に問題なく倒せたから大丈夫だと……。


「……カナさん、とにかくエンチャント貰える?」

「ええ、少し待ってね?」


 クロネコがプリーストが必要と真っ先に言った理由はここにあるのだろうと理解したリルはカナリアへと属性付与を頼む。

 すると――。


「エンチャント・セイント」


 カナリアは微笑みながらリルの武器へと魔法をかけ――。

 それを確認したリルはゾンビを袈裟切りにする。

 今度こそ光となって消えていくモンスターを確認し――今度はクロネコへと目を向けた彼女。


「クロネコも、先に言ってよね?」

「いや……うん、実は来たことはなかったしゾンビを見るのも初めてなんだ」


 しどろもどろになりながらも申し訳なさそうにしている彼女を見て嘘ではないと気がついたリルは目を丸める。


「知らなかったの?」


 リルの言葉に暫く黙っていたクロネコだったが、ようやくゆっくりと首を縦にする。

 情報屋だと言っても知らないことはあったのだろう。

 いや、リルたちに近づくために情報屋になったのだ……それならば少し情報に疎くても仕方がないと考え――。


「そっか、それならこれから先、手にいれる情報はしっかり持って帰ってね」

「……え?」


 呆けた声を出すクロネコに対しリルは微笑み。


「だって情報屋続けるんでしょ?」

「ま、まぁ……そのつもりだったけど」


 頷くクロネコを見て満足そうにリルは目を細める。


「……始まったわね」

「え?」


 カナリアは微笑みながらもどこか困っていたが、その様子を見守るようだ。


「だから、ここの情報をしっかり持って帰って、それで稼いで……私達に有利な情報を集めてほしいの」

「……どういう事?」


 どういう事も何もリルの中では答えが決まっていた。

 いや、寧ろ決まっていなければ彼女をここまで連れてきたりはしなかったのだ。

 linkで連絡を取ればアスカレイドをやっている仲間達に連絡が取れる。

 前衛など初めから困ってはいなかった。

 だが、出来るだけ仲間は自分で集めたいとリルは考えていた。

 そう、自分自身から売り込んできたカナリアを除いて……。


「ギルド、作るから専属情報屋兼、斥候として入ってね」

「…………待って? このダンジョンだけの話じゃないの?」


 困惑する彼女に悪戯っぽく笑って見せたリルは頷くのだった。

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