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47話 館へ

 リルたちはヘルヘイムの館を目指し歩き始める。

 距離があるのであれば乗り物に乗って移動するらしいのだが、今回も大丈夫なようだ。


「それで、そのクエストは……とんでもない物を要求してくるのね?」

「だよね……」


 あははと笑うリルに対しベールは申し訳なさそうに身を縮こませ。


「ごめんなさい」

「別に怒ってるわけじゃないのよ?」


 彼女がとんでもない物をと言ったのには理由がある。


「神たその後継作と言っても、まさか毒液を手にいれるクエストがこんなに早いとは思わなかったわ……」

「前の時は結構後で必要になってたよね?」


 そう、実はアスカレイドオンラインの前の作品でも同じアイテムが出てきていたのだ。

 それもニブルヘイムという特別な町に行くために必要だった。

 その際はある特定のエリアで毒液を飲み死亡するというのが条件だったのだが……。


「……あれ、今回もあるのかな?」

「あるとしたら、ちょっとやりたくないわね」


 毒液の味はどんなものなのか分からない。

 寧ろものすごくまずく設定してある可能性だってあるのだ。

 しかし、この世界でも同じニブルヘイムは実装され、そして同じ手順かもしれない。

 そう考えると二人はうんざりとした表情になるのだが……。


「えっと……どうしたんですか?」


 訴えられているのは自分ではないことに気がついたベールは二人に尋ねる。

 するとそれに答えたのは彼女たちではなく――。


「前回のゲームでは飲んで死亡すると特定の町に行けたんだとさ……」


 情報屋のクロネコだ。

 彼女の言葉にベールは「ええ……」とあからさまに嫌な声を出した。

 それもそうだろう。

 毒液を飲むなんて誰がしたいというのだろうか?

 ましてや現実で同じことをする人はいないだろうが、それを警戒しまずく設定してあると彼女もまた考えたのだ。


「それ、やらなきゃダメなんですか?」

「……幸い実装されてない、けど……やりたくないよね」


 クロネコもまた同じような顔をし、その体をだらりとさせる。

 相当嫌なようだが、ベールはコクコクと首を縦に振り、同意をして見せた。


「……今度はまともな方法で行けたらいいなぁ」


 リルがそうつぶやいた時だ。

 目の前にモンスターが現れ、襲い掛かってきたのだ。

 しかし、リルはそれをちらりと見ると、フェンリルを引き抜きさくりと切り捨てる。

 どうやらこの周辺の魔物であればほぼ一撃で倒せるようだ。


「そのユニーク強すぎない?」

「ええ……初心者の火力じゃないわ」


 そんなことは十分理解していた。

 だからこそ、不安なものもあったのだ。


「修正されなければ良いんだけどね……」


 リルは今度は願う様にそう言いながらひきつった笑みを浮かべた。

 実際それが一番怖いのだ。

 だが、強力すぎる装備が修正されるのはよくある事だ。

 その時は諦め、新しい装備を探すしかないと割り切ることにしたリルは前をしっかり見て見ると……。


「……あれ、だね」


 リルは屋敷を目にし立ち止まってそうつぶやく。


「ぅぅ……なんか怖い感じがする」


 古びた洋館を前にベールはしり込みしてしまったようだ。


「さてと……聖水はすぐ使えるようにしておいたほうが良いよ、呪われると面倒だからさ」

「……分かった」


 呪いというステータスはリルもよく知っていた。

 呪いによりすべてのステータスが20~50%下がってしまうのだ。

 リルは勿論、ベールにとっても大打撃だ。


「このインベントリ? から出して、ベルトポーチに入れておけば消えないんだよね?」

「うん、そうみたい」


 リルはベールと共に確認しつつ、聖水を準備するのだった。

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