28話 解放された武具
「……おお、すばらしい武具に光が……」
村長はそう言われ、リルは身に着けたそれと辺りの武具へと目を向ける。
確かに光が中に入って言ったように見えたが……。
見た目的には変わってはいない。
しかし、イベントとしてはそれで十分なのだろう。
「では、武具はお任せします」
「村長!!」
リルがうきうきとしながら武器へと手を伸ばそうとしていた時――。
響き渡る声。
それに驚き二人が祠の入口へと目を向けると――。
「ゴ、ゴブリンが……村を……」
彼はそれだけを伝えゆっくりと倒れこんだ。
「あ? ……っ!?」
ベールが呆けた声の後に息をのんだのが分かった。
リル自身も目を丸めていたと自覚できるぐらいだった。
倒れた彼の背には無数の剣や矢、槍が突き刺さっていたのだ。
そのどれもが粗悪な作りと言って良いだろう。
その武器には見覚えがあると言って良いだろう。
「ゴブリンどもめ……」
「お父さん……」
この村は今……ゴブリンに襲われている。
ゲームシステム的に雑魚と言って良い魔物だ。
しかし、村人には果たしてそれを撃退するほどの能力を与えられているのだろうか?
いや、そうであれば少女があんなところで捕まっている理由はない。
「冒険者様……重ねてお願いが……」
「分かってる」
リルはこれが武具関連の最後になるのだろうと予想を立て全ての装備を回収する。
「リルちゃん……」
「戦うよベール」
彼女はそう言いながら装備を確認し始めた。
どうやら少し猶予があるようだ……。
受諾までに時間が設けられていた。
だからこそ、ゆっくりと装備を確認できたのだ。
アングルボザ ユニーク 破壊不可 この装備は譲渡、ドロップが出来ない。
AGI能力値÷3の値を弓と罠の攻撃力に加算する。
DEX能力値÷3の値を短剣の攻撃力に加算する。
「これには能力値の変化がないんだ……」
これだけで強力な装備だから無理もない。
そう思いつつ別の装備を確認すると――。
フェンリル ユニーク 破壊不可 この装備は譲渡、ドロップが出来ない。
ATK30+?? 《??の値は同系統ユニークを装備している時、一つにつき+30》
ユニークスキル
《ビューレイスト》 最高??連撃《最低2連撃》のダメージを与える。
??はプレイヤースキルに依存をする。
ヨルムンガルド ユニーク 破壊不可 この装備は譲渡、ドロップが出来ない。
ATK30+?? 《??の値は同系統ユニークを装備している時、一つにつき+30》
ユニークスキル
《ファールバウティ》 攻撃倍率は常に150%に増加《矢を消費しない場合100%となる》
MPを3消費、更に5消費することで矢を必要としない。
MPを消費し続けることにより、撃ち出した矢の操作を可能とする。
ロキ ユニーク 破壊不可 この装備は譲渡、ドロップが出来ない。
この装備にはステータスが存在しない。
ユニークスキル
《トリックスター》 自身、または対象を任意の姿へと変貌させる。
ステータスの変化は無し、自身へと使った場合相手がモンスターであれば混乱による行動制限を与える。
ヘル ユニーク 破壊不可 この装備は譲渡、ドロップが出来ない。
AGI能力値+30
ユニークスキル
《ハイドウォーク》 1分ごとにMPを3消費する。
自身の姿を隠し、行動が出来るが攻撃を受けると強制的に解除される。
相手がプレイヤーの場合、一定時間経過により探知される場合がある。
「…………」
それはリルにとっては好都合と言ったほうが良い効果ばかりだった。
いや、普通のプレイヤーでも十分役に立てる能力だ。
特に利便性を考えるのであればハイドウォークやファールバウティ。
そして一見地味かと思えるトリックスターも使いようによっては化けるのは間違いない。
だが、これらの装備はリルの強運のお陰で手に入ったと言って間違いはないだろう。
それを考えるとリルは――。
「……す、素直に喜んでいいのかな」
「どうしたの?」
ベールは不安そうな声を出すがリルは首を横に振り――。
よほどのことがない限りこの装備で良いかな? と思うのだった。




