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20話 ゴブリンリーダー

 それから少し先に進むとやけに大きな扉があった。

 洞窟に見合うボロボロの扉を前にリルはHPポーションを飲み干す。


「ここを抜けたら多分ダンジョンボスが居ると思う」

「ボス……ですか……」


 フィールドに突然沸いたホブゴブリンを思い出したのだろう。

 震え始めた彼女の手を取ったリルは――。


「大丈夫、私が守るから」

「う、うん」


 だが、それはかなり難しい事だ。

 なぜか? その理由をリルは予想していた。


『多分、いや確実に武器破壊のバッドステータスは持ってる……広ければ弓で私も戦えるけど……ヘイトを稼げる手段が……』


 リルはスキル欄へと目を向ける。

 新たなスキルがないかを調べていた。

 しかし、代わり映えのないスキル欄に彼女は眉をひそめた。


『取得条件に別のスキルがあるものは表示されてる、だけどどう考えてもスキルが少なすぎる』


 弓、短剣そして罠。

 それらが使えるアサルトから考えても多彩な攻撃方法やスキルがあるだろうと予想は出来る。

 しかし、それにしては少なすぎるのだ。


『つまり、なにか条件付きでスキル欄に現れるか取得できるはず』


 とはいえ、今すぐに取得できるわけではない。

 少なくともこの戦闘では別の方法を考えなくてはととりあえず基本トラップである「マイン」を取得するのだった。


「行くよ……」


 リルはベールが頷くのを待ってから、扉へと手をかける。

 ギギギギギ……と言う音が鳴り響き扉は開いて行く。

 中は広く、ボロボロの赤い布がかけられている大きな椅子には傷だらけの巨大なゴブリンがいた。

 周りには人間の骨らしきものが転がっており、彼らの装備や衣服がちりばめられていた。

 そして、その脇に居るのは人間の少女だ。

 彼女は涙を流しながらリルたちへと目を向ける。

 すると――。


「た、たすけ、助けてください!! た、食べられてしまいます!」


 必死に手を伸ばす。


「――っ!?」


 ベールはそれを見てガチガチと歯を鳴らしその場に座り込んでしまう。

 だが――。


「ベール!! 立って!!」


 PTのリーダーであるリルの前にはウィンドウが開かれそこには『近隣の悪夢……』と書かれている。

 クエストの情報へと目を向ける。


 近隣の悪夢


 冒険者となった君はこの洞窟を見つけ進んできた。

 奥には大きな部屋があり、そこには助けを求める少女が一人。

 衣服から察するにこの近辺の村出身だろう。

 ゴブリンに捕らえられた彼女を助けられるか、そうではないかは君の手にかかっている。


《クエスト達成条件》


 ゴブリンリーダーの討伐または《少女》を連れて洞窟内から脱出。



「あ、ああ?」

「ベール、あの子を助けるよ!」


 リルはそう言うとベールの方へと目を向ける。

 このクエストは選択しないでも一定時間がたてばイベント受諾される形式なのだろう、ウィンドウには残り時間と――。


「人間、ドウシタ俺ハ今メシガタベタイ、美味ソウナ肉ヲ手テニイレテナ気分ガ良イ、見逃シテヤル」

「ひっ!?」


 ゴブリンの言葉にその顔を恐怖に染める少女。

 ゲームだとはいえ、よくできている。


「リ、リルちゃ……」

「大丈夫私がいる」


 リルはそう言うと屈託のない笑みを浮かべる。

 そして、ウィンドウへと手を添え……。


「受けるよ……」


 それだけ言うと彼女は勢いよくゴブリンリーダーへと向かい走り始めるのだった。

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