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13話 VR適正

 首を振る彼女に対しリルはがっかりすることはなかった。

 いくら先にプレイをしているとはいってもカナリアの事だ。


「プリースト、だよね?」

「ええ、そうよ」


 そうだとすると、一人でクエストをこなすのは難しいだろう。

 彼女の事だから攻撃魔法を使えるようにはしているとは思うが、そうだとしても難しい。


「それって、私達には難しい?」


 だからこそ、リルは自分で手にいれようと考えそう尋ねる。

 すると――。


「ええ、勿論難しいわ」


 そうだよね……リルはつぶやきながらうんうんと唸る。

 しかし、カナリアは笑みを浮かべ――。


「でも、貴方たちがちゃんと育てば無理ではないわよ?」


 そう言った彼女はウィンドウを操作し、リルを手招きをする。

 どうしたんだろう?

 そう思って彼女の操作する窓を見ると――。


「ここは?」

「初心者には難しいダンジョン、だけどあなたなら問題はないでしょ?」


 そうは言ってもベールを守ってはきついよ?

 そう言おうと思ったのだが……。


「大丈夫よ? だって何とかしてくるもの」

「その謎の信頼感はなに?」


 呆れたように笑うリルに対し、彼女は真面目な顔をしている。

 一体どうしたというのだろうか?


「神たそを卒業してから、どんなゲームをやってたかは知らないわ」


 それはそうだろう。

 リルという名前を使ったのは”兄”がいたからだ。

 それに彼女が気がついたのもギルドの名前を出したからに違いない。


「だけど、このゲーム……いいえ、VRであそこまで俊敏に動けるプレイヤーは少ないのよ」

「…………知ってる」


 VR適正。

 ゲーマーにとってそれは近年聞く言葉だ。

 それはどういうことか? 簡単な話、最初はVRゲームをまともにプレイできるか? とそれだけだった。

 ほんの数年前のVRは画面が荒く、物が二重に見えたりゆがんで見えたりすることが多かった。

 だからこそ、そんな中で動く人間が稀だったのだ。

 だが、この頃はその意味を変えている。


 このジャンルのゲームをやるにあたり、異常なほど高いプレイヤースキルを持つものが現れたのだ。

 どうしたって現実通りに動かないVRの中では普通に動くだけでもステータスの補正値は重要なものだった。


「……あの子も多分適正者だと思う」

「ええ、あの魔法の威力から考えてINT極振り(きょくぶり)の可能性もあるわね」


 首を縦に振ったリルは昨日であったベールという少女を思い浮かべる。

 昨日見たあの魔法は強力なものだった。

 新しく手にいれたらしい杖が原因であろうことは予想は出来ていたがそれにしても強力すぎるからだ。


「それで……つまりこのダンジョンは適性が低い人にとって難しいダンジョンって事?」

「他にも理由があるけど、おおむねそうよ、だからあなたたちなら問題はないの、とはいってもレベルは少し上になると思うわよ」

「うん、分かった」


 リルが笑みを浮かべ、ありがとうと答えると再び笑みを浮かべたカナリア。

 彼女はさらにウィンドウを操作すると――。


「位置情報は送っておいたわ、アタシはそろそろ臨時の時間だから」

「いってらっしゃい!」


 去っていく彼女を見送り、リルはベールがまだ入っていないことを確認した後、ぶらぶらと街の中を歩き始めた。


「とりあえずは買える物、買っておかないとね」


 これからダンジョン探索だ。

 そうなればポーションなどの回復アイテムは必要になってくる。

 手持ちのお金で足りるだろうか?

 そう考え一応確認してみると――。


「500G……まぁ、ポーションは買えるかな?」


 少ないことに少し不安を覚えつつも道具屋へと向かうのだった。

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