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114話 悪意は……

 兄さんと別れた後、リルとベールはある店へと入った。

 それはカナリアと出会った店だ。


「あの人、信用できるの?」

「うん、大丈夫だよ」


 疑うベールに対し、リルはそう答える。

 だが、不安はあった。

 確かに兄さんは信用が出来る。

 しかし、何をしでかすかは分からないのだ。

 だが、ハルは必ずリルの目の前に姿を現すというのは分かった。

 兄さんが嘘を言う時は冗談と笑える時だからだ。


「……でもなんでだろう?」


 リルはいわれのない不安を感じた。

 確かにハルが目の前に姿を現すという自信はあった。

 だが、それでも、なにか引っかかるところがあったのだ。


「……やっぱり変な事をするんじゃ?」


 ベールの言葉にリルは苦笑いをする。


「と、とにかく警戒しつつ待ってみよう?」

「……うん」


 そう口にした二人。

 だが、二人はすぐにその目をあるところに向けた。


「何の話かなー?」

「え?」


 そう、そこには件のハルがいたからだ。

 兄さんの話では二、三日以内という事だった。

 つまり、まだ兄さんの作戦は実行されてはいないだろう。


「ハルちゃん……」

「どうしたの?」


 ニヤニヤと笑うハルに対し……リルはゆっくりと口を開く。


「レッド行為はやめて」


 思い切ってそう言うとハルは目を丸め、一瞬止まると笑い始める。

 それに対しリルは悲しそうな顔をするのだが……。


「リルちゃんの友達だよね? だったら、お願い……」


 ベールもまたそう口にする。

 するとハルは――。


「レッド? ひどいなぁ……確かにレッドには属してるよ? でも私はただ裁いて上げてるだけでしょ?」


 言葉の意味が分からなかった。

 砂漠とはいったいどういう事だろうか?


「私は絶対許さないから……」


 そう口にした彼女は笑っていはいるが……その瞳には笑みがなかった。

 楽しそうに話すその口元だけが笑っているのだ。


「ハル……ちゃん? どう、したの?」


 今まででは見たことないその表情にリルは恐る恐ると聞いてみる。

 だが、ハルはただ笑うだけで答えてはくれない。

 そう、答えてはくれなかった……。

 ただ、笑い声だけが聞こえ、リルとベールはその異様な表情におびえる。


「大丈夫、大丈夫だよ、二人に危害は加えないし? 何ならリルのギルドのメンバーもね」


 今度は本当に笑いかけてきたハル。

 彼女に一体何があったというのだろうか?

 リルは不安を覚えるが……。


「大丈夫、安心して?」


 かつて出会った時に言ってくれた言葉を口にしたハルに対しリルは立ち上がり……。


「出来る訳、ないでしょ! 今のハルちゃんおかしいよ!!」


 すぐに反論をした。

 そう、かつてはあれだけ嬉しかった言葉。

 その言葉でさえ不安をあおるものだったのだ……。

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